大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
2人の休暇と新たな不穏
大泊瀬皇子の衝撃の告白から早2ヶ月が経過していた。季節も5月に入り、気温も徐々に暖かくなってきている。
韓媛も嫁ぎ先は元々親が決めると思っていたため、そこまで関心を抱いていなかった。だが大泊瀬皇子とのことがあり、始めて恋の素晴らしさを知る。
「今回のような展開になるなんて、本当に意外だったわ。婚姻の相手がまさかあの大泊瀬皇子だなんて……」
だが2人はまだ婚姻の約束をしただけで、正式に韓媛が大泊瀬皇子の妃になった訳ではない。
今は次の大王がまだ決まっておらず、皇子の草香幡梭姫との婚姻も先延ばしの状態のままである。
元々彼女の父親である葛城円が亡くなったことで、大泊瀬皇子は韓媛に会いに行く理由がなくなってしまった。
そこで彼は今回の行動を起こすことにしたようだ。
幸い葛城円から婚姻の了承をもらい、草香幡梭姫には元々建前上の婚姻だとは説明している。
であれば韓媛とはせめて婚姻の約束だけでもできれば、彼女に会いにいけると彼は考えたようだ。
「でも皇子が葛城にきていたこと自体も、本人たっての希望だったとはさすがに思いもしなかった」
皇子曰く彼が大王の代理で葛城にきていたのは韓媛に会うのも目的だったようだ。
さらに子供の頃に大人達について大和に行っていたのも、途中からは同じ目的に変わっていた。
(まさか、他にも何かあったりしないわよね……)
韓媛は嬉しいやら呆れるやらで内心複雑である。だが彼を好きなことに全く変わりはない。
そして彼が2ヶ月前に始めてここにきた日からしばらくした後、韓媛の後見人である葛城蟻臣が彼女に会いにくる。
彼は父親の葛城円より数歳年上で、割と温厚な性格の男性である。
そして自分よりも若い葛城円の死は、彼からしてもかなり衝撃で、始め知った時は本当に悲しみにくれた。
そんな彼から韓媛の今後の話しが出たので、彼女は大泊瀬皇子とのことを正直に話した。
彼も大泊瀬皇子がここにきたことは知っていたようで、それなりに予想はしていたようだ。
そして韓媛から全ての話を聞き終えると、自分もできる限りの協力はしていくといってくれた。
それを聞いた韓媛は蟻臣には本当に感謝の思いでいっぱいだ。
葛城は葛城円が亡くなったことにより、今後権力が大きく失われる可能性が高い。
だが父親の言葉にあったように、一族が末長く続いていくことが、本当の意味での繁栄だと彼女は今考えている。
「とりあえず今は、これからのことだけを考えていきましょう。私を生かしてくれたお父様のためにも」
韓媛も嫁ぎ先は元々親が決めると思っていたため、そこまで関心を抱いていなかった。だが大泊瀬皇子とのことがあり、始めて恋の素晴らしさを知る。
「今回のような展開になるなんて、本当に意外だったわ。婚姻の相手がまさかあの大泊瀬皇子だなんて……」
だが2人はまだ婚姻の約束をしただけで、正式に韓媛が大泊瀬皇子の妃になった訳ではない。
今は次の大王がまだ決まっておらず、皇子の草香幡梭姫との婚姻も先延ばしの状態のままである。
元々彼女の父親である葛城円が亡くなったことで、大泊瀬皇子は韓媛に会いに行く理由がなくなってしまった。
そこで彼は今回の行動を起こすことにしたようだ。
幸い葛城円から婚姻の了承をもらい、草香幡梭姫には元々建前上の婚姻だとは説明している。
であれば韓媛とはせめて婚姻の約束だけでもできれば、彼女に会いにいけると彼は考えたようだ。
「でも皇子が葛城にきていたこと自体も、本人たっての希望だったとはさすがに思いもしなかった」
皇子曰く彼が大王の代理で葛城にきていたのは韓媛に会うのも目的だったようだ。
さらに子供の頃に大人達について大和に行っていたのも、途中からは同じ目的に変わっていた。
(まさか、他にも何かあったりしないわよね……)
韓媛は嬉しいやら呆れるやらで内心複雑である。だが彼を好きなことに全く変わりはない。
そして彼が2ヶ月前に始めてここにきた日からしばらくした後、韓媛の後見人である葛城蟻臣が彼女に会いにくる。
彼は父親の葛城円より数歳年上で、割と温厚な性格の男性である。
そして自分よりも若い葛城円の死は、彼からしてもかなり衝撃で、始め知った時は本当に悲しみにくれた。
そんな彼から韓媛の今後の話しが出たので、彼女は大泊瀬皇子とのことを正直に話した。
彼も大泊瀬皇子がここにきたことは知っていたようで、それなりに予想はしていたようだ。
そして韓媛から全ての話を聞き終えると、自分もできる限りの協力はしていくといってくれた。
それを聞いた韓媛は蟻臣には本当に感謝の思いでいっぱいだ。
葛城は葛城円が亡くなったことにより、今後権力が大きく失われる可能性が高い。
だが父親の言葉にあったように、一族が末長く続いていくことが、本当の意味での繁栄だと彼女は今考えている。
「とりあえず今は、これからのことだけを考えていきましょう。私を生かしてくれたお父様のためにも」