大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
阿佐津姫
大泊瀬皇子は遠飛鳥宮の中を歩いていた。
まだ大王が決まってない中、大和の皇族と大臣達との協力で、今はこの国をまとめている。
今日は彼の母親である忍坂姫から、自分の部屋に来るよういわれていた。
「くそ、今のままでは母上の負担が多くなってしまう。もっとしっかりとした体制を整えていかなければ。
そうしないと、いずれ母上の無理がたたってしまうかもしれない」
大泊瀬皇子はそんな自身の母親のことを心配した。
今大王が不在の上に、大臣も変わったばかりだ。そう考えると葛城円の存在は本当に大きかった。
彼が今後の政り事をどうしていくべきか、あれこれと考えながら歩いていると、ようやく忍坂姫の部屋の前までくる。
(とりあえず、まずは母上の話を聞いてみよう)
大泊瀬皇子はそう思って、部屋の外から声をかけた。
「母上、大泊瀬です。中に入っても良いですか」
すると中にいた忍坂姫から返事が返ってくる。
「大泊瀬、やっと来たのね。良いからそのまま中に入ってきてちょうだい」
大泊瀬皇子は忍坂姫にそう言われたので、そのまま何も言わずに中に入っていく。
彼が中に入ると、忍坂姫とは別にもう一人女性がやってきていた。どうやらその2人は雑談をしていたようだ。
大泊瀬皇子は、もう一人の女性の顔を見る。
少しふわっとした髪を櫛等で優雅に纏めていて、顔立ちもとても整っている。そしてこの女性とは彼も面識があった。
「見覚えがあると思ったら、阿佐津姫か。どうしてこちらに?」
大泊瀬皇子はそう言いながら、2人の元にやってきた。
彼女は亡き瑞歯別大王の唯一の皇女で、今は物部の元へ嫁いでいる。
歳は大泊瀬皇子よりも10数歳年上だ。
そして大泊瀬皇子とは従姉同士の関係になる。
「今日久々に阿佐津姫が私の所に会いにきてくれたの。最近大和も色々と物騒なことが続いてるから、彼女も少し気にしていたみたい」
忍坂姫はそう大泊瀬皇子に説明する。
彼女は阿佐津姫との会話でかなり盛り上がっていたようで、とても機嫌が良い。
「本当にそうなの。それで叔母様の顔を見るために、物部の者に連れてきてもらったわ」
阿佐津姫は少し愉快そうにしながら、大泊瀬皇子につげる。
(この人はどうも上から目線で話しかけてくる所がある。見た目は割りと良いのだが、この性格はどうにかならないのか……)
彼は自身の事を全く棚に上げておきながら、そのように彼女の事を思っていた。
阿佐津姫はどうやら少し気の強い女性のようだ。
だが忍坂姫と彼女は割りと話しが合うようで、頻繁とはいかないがたまに会うと、いつもこうやって雑談等をして楽しんでいた。
まだ大王が決まってない中、大和の皇族と大臣達との協力で、今はこの国をまとめている。
今日は彼の母親である忍坂姫から、自分の部屋に来るよういわれていた。
「くそ、今のままでは母上の負担が多くなってしまう。もっとしっかりとした体制を整えていかなければ。
そうしないと、いずれ母上の無理がたたってしまうかもしれない」
大泊瀬皇子はそんな自身の母親のことを心配した。
今大王が不在の上に、大臣も変わったばかりだ。そう考えると葛城円の存在は本当に大きかった。
彼が今後の政り事をどうしていくべきか、あれこれと考えながら歩いていると、ようやく忍坂姫の部屋の前までくる。
(とりあえず、まずは母上の話を聞いてみよう)
大泊瀬皇子はそう思って、部屋の外から声をかけた。
「母上、大泊瀬です。中に入っても良いですか」
すると中にいた忍坂姫から返事が返ってくる。
「大泊瀬、やっと来たのね。良いからそのまま中に入ってきてちょうだい」
大泊瀬皇子は忍坂姫にそう言われたので、そのまま何も言わずに中に入っていく。
彼が中に入ると、忍坂姫とは別にもう一人女性がやってきていた。どうやらその2人は雑談をしていたようだ。
大泊瀬皇子は、もう一人の女性の顔を見る。
少しふわっとした髪を櫛等で優雅に纏めていて、顔立ちもとても整っている。そしてこの女性とは彼も面識があった。
「見覚えがあると思ったら、阿佐津姫か。どうしてこちらに?」
大泊瀬皇子はそう言いながら、2人の元にやってきた。
彼女は亡き瑞歯別大王の唯一の皇女で、今は物部の元へ嫁いでいる。
歳は大泊瀬皇子よりも10数歳年上だ。
そして大泊瀬皇子とは従姉同士の関係になる。
「今日久々に阿佐津姫が私の所に会いにきてくれたの。最近大和も色々と物騒なことが続いてるから、彼女も少し気にしていたみたい」
忍坂姫はそう大泊瀬皇子に説明する。
彼女は阿佐津姫との会話でかなり盛り上がっていたようで、とても機嫌が良い。
「本当にそうなの。それで叔母様の顔を見るために、物部の者に連れてきてもらったわ」
阿佐津姫は少し愉快そうにしながら、大泊瀬皇子につげる。
(この人はどうも上から目線で話しかけてくる所がある。見た目は割りと良いのだが、この性格はどうにかならないのか……)
彼は自身の事を全く棚に上げておきながら、そのように彼女の事を思っていた。
阿佐津姫はどうやら少し気の強い女性のようだ。
だが忍坂姫と彼女は割りと話しが合うようで、頻繁とはいかないがたまに会うと、いつもこうやって雑談等をして楽しんでいた。