大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
「それで叔母様から聞いたけど。大泊瀬、あなた最近葛城の姫の元に通ってるそうね」
阿佐津姫はとても興味津々そうにして彼に聞いてきた。
それを聞いて大泊瀬皇子は思った。
今この2人がこれほど盛り上がっているのは、恐らく自分の話を話題にしていたのであろう。
「そうなの。これには本当に驚いたわ。だって、大泊瀬の恋がやっと報われたのだから」
忍坂姫も自身の息子のことではあるが、余りに面白いのか、少し笑いを堪えながらそう話す。
「と言うより母上、どうして阿佐津姫にそのことを話したのだ。まだこの件については、余り話さないで欲しいといったはずだが……」
大泊瀬皇子は少し苛立ちながらいった。
草香幡梭姫との婚姻の件もあるので、彼的には余り騒ぎ立てはしたくなかった。
だがその割りに、頻繁に韓媛の元に通っているので、少々説得力にかける所はある。
「まぁ、それは悪いとは思ってるわよ。ただ今日は、阿佐津姫と最近あったことを色々を話していたら、ついついその話しをするはめになってね……
まぁ私と阿佐津姫は気心しれた仲だから大丈夫よ。別に2人の邪魔をする気もさらさらないし」
忍坂姫は少し申し訳無さそうにしながらいった。
「そうよ大泊瀬。私も特に周りにいいふらすなんてことはしないから、安心して」
阿佐津姫もそう彼にいう。
だが余り悪びれてる感じには見えない。
大泊瀬皇子もそれを聞いて思わず肩を落とした。どのみちここまで話されていたのであれば、もうどうすることも出来ない。
ここは阿佐津姫の言葉を信じるほかないだろう。
それまで必死で笑いを堪えて話していた忍坂姫も、そんな彼を見て急に表情を変える。
「大泊瀬、前回の眉輪の件に関してあなたが起こした行動について、今回は目をつぶることにしました。亡くなった2人に関しても、抵抗しなければあなたが殺されていたのだから。
それに大王の暗殺を子供だからといって許していたのでは、また同じようなことが起きるかもしれない……」
忍坂姫からすれば、亡くなった2人の皇子と大泊瀬皇子、どちらも大事な自身の息子である。どちらが亡くなったとしてもきっと同じように彼女は涙を流して、酷く悲しんでいたはずだ。
「でも、あなたも今は大切な姫が出来た。そんな彼女を守るためにも、今後は余り無茶なことはしないでちょうだい」
大泊瀬皇子は母親である忍坂姫にそう言われて、思わず言葉が出なくなってしまった。
韓媛は絶対に自分が守って幸せにする。彼女の前でそう誓っていった。
それは彼女の父親を死なせてしまった償いと、そして彼女のことが他の誰よりも大切な存在だからだ。
阿佐津姫はとても興味津々そうにして彼に聞いてきた。
それを聞いて大泊瀬皇子は思った。
今この2人がこれほど盛り上がっているのは、恐らく自分の話を話題にしていたのであろう。
「そうなの。これには本当に驚いたわ。だって、大泊瀬の恋がやっと報われたのだから」
忍坂姫も自身の息子のことではあるが、余りに面白いのか、少し笑いを堪えながらそう話す。
「と言うより母上、どうして阿佐津姫にそのことを話したのだ。まだこの件については、余り話さないで欲しいといったはずだが……」
大泊瀬皇子は少し苛立ちながらいった。
草香幡梭姫との婚姻の件もあるので、彼的には余り騒ぎ立てはしたくなかった。
だがその割りに、頻繁に韓媛の元に通っているので、少々説得力にかける所はある。
「まぁ、それは悪いとは思ってるわよ。ただ今日は、阿佐津姫と最近あったことを色々を話していたら、ついついその話しをするはめになってね……
まぁ私と阿佐津姫は気心しれた仲だから大丈夫よ。別に2人の邪魔をする気もさらさらないし」
忍坂姫は少し申し訳無さそうにしながらいった。
「そうよ大泊瀬。私も特に周りにいいふらすなんてことはしないから、安心して」
阿佐津姫もそう彼にいう。
だが余り悪びれてる感じには見えない。
大泊瀬皇子もそれを聞いて思わず肩を落とした。どのみちここまで話されていたのであれば、もうどうすることも出来ない。
ここは阿佐津姫の言葉を信じるほかないだろう。
それまで必死で笑いを堪えて話していた忍坂姫も、そんな彼を見て急に表情を変える。
「大泊瀬、前回の眉輪の件に関してあなたが起こした行動について、今回は目をつぶることにしました。亡くなった2人に関しても、抵抗しなければあなたが殺されていたのだから。
それに大王の暗殺を子供だからといって許していたのでは、また同じようなことが起きるかもしれない……」
忍坂姫からすれば、亡くなった2人の皇子と大泊瀬皇子、どちらも大事な自身の息子である。どちらが亡くなったとしてもきっと同じように彼女は涙を流して、酷く悲しんでいたはずだ。
「でも、あなたも今は大切な姫が出来た。そんな彼女を守るためにも、今後は余り無茶なことはしないでちょうだい」
大泊瀬皇子は母親である忍坂姫にそう言われて、思わず言葉が出なくなってしまった。
韓媛は絶対に自分が守って幸せにする。彼女の前でそう誓っていった。
それは彼女の父親を死なせてしまった償いと、そして彼女のことが他の誰よりも大切な存在だからだ。