瞬きもせずに・・
そう言って帰ったが翌日、放課後可鈴ちゃんと別れてテニス部の部室前でガチガチに固まっていた。
なぜなら部活のドアを叩こうとした時、不意に後ろから声を掛けられた。あの桜井先輩だ!
「あれ?幡野さん?」
「はい!私が幡野です。」
つい心の声が出ちゃった・・・わぁー
「おお!噂の彼女か?」
桜井先輩の後ろから一緒に来た昨日見かけた瀬戸先輩か笑いながら顔をだす。
噂の彼女って・・私をしっているの?
一気に心臓が高鳴る。
「でここに来たわけは?」
私が固まっていると瀬戸先輩がふと手に持っている入部届けに気づいた。
「おーもしかしてテニス部に入るの?」
「今年は部員増えるねー!良いね、さぁどうぞ」
瀬戸先輩がドアを開け部室に促してくれる。
部室の中はごった返していた。まさにすし詰めと言う所だろうか。男女合わせて30名程いた。
「部長いますか?」
「はい!」
「今部に入りたい一年生が来ました。」
「はーい!みんな少し道開けてあげて!」
「と言うか一年、二年は早く着替えコートに行けよ」
3年の先輩が煽る。そそくさと一年生は着替えを持って部室から出て行く。
「どうぞこっちに来て」
昨日見学した時に見た神山先輩が手で招く。
「初めまして私がテニス部部長の神山です。
で入部希望でいいのかな?」
「は、はい入部希望です!よろしくお願いいたします。」
手に持っていた入部届けを手渡す。
届け書には名前、学年、クラスと部活経験が記入してある。
「幡野さん?テニス部でいいの?」
「え?はっはいテニス部希望です。」
「でもあなた中学の時バスケ部だよね?友美っ、いや、バスケ部の部長は今年期待の一年生が来るって言っていた名前の中に『幡野』と言う名前があった気がしたなー珍しいから覚えていたんだけど違う?」
「はっはい!中学ではバスケをやっていましたが、高校ではテニスをしたくて入部しまた。」
「うちテニス部しては大歓迎だけどバスケ部から言われるかも」
「智!良いじゃん、後1人入れば部員数で男女別の部室が貰えるんだよ。もうトイレで着替え無くて済むし」
3年生だろう女子部員の先輩が部長を促す。
「そうですよ先輩この子、桜井が朝練の時の一年生です、更にテニス部とっても女神ですよきっと」
「え?桜井君が怪我負わせた一年生ってこの子?」
まじまじと私を見つめる部長・・・
私はドギマギしながら俯く。
「そうですよね今年は期待の出来るテニス部の歴史を覆す年にするのが私の役割だし・・・」
少し考えて部長神山先輩が私を見て話す。
「では幡野さんテニス部で一緒に頑張って行こう」
神山先輩は笑顔で快諾してくれた。
私は晴れてテニス部に入部した。
けど色々と気になる単語が出ていたが、気にしないように振る舞い部室を出て帰宅した。
期待と不安を胸に眠りに就いた。