瞬きもせずに・・
ヒヨッ子1年生
硬式テニス部に入部した。動機はともあれテニスをやるからには半端な気持ちではいけない。
幡野家家訓の『迷ってもこうと決まれば只邁進するのみ』だ!
部活の先輩達とネット情報からの知識でテニスのイロハを勉強する。
部活内容としては、放課後部員全体で、ストレッチを行い、軽く校舎の外周を走り、腕立て伏せ、腹筋背筋のトレーニングと基礎運動を終え素振りを行う。これで全体練習は終わる。
そうすると、3年生と2年生、1年生の中でも硬式テニス経験者は一緒にボールの打ち合いを始める、体が暖まるとミニ試合を行う。
しかしテニス初心者の1年生はというと、全体練習が終わっても、ひたすらマラソンとテニスコートの端から端の反復ダッシュだ。ボールには触れずにただそれだけ。入部して1週間、それは続く。
私は中学時代バスケで慣らした体力に自信があったので結構ついては行けた。それでもついていくのがやっと。初心者8名の内、半分は着いてこれていなかった。その中でも特に目に余る程へばっている男子部員がいた。
「小島ー早く走れ!」
私と同じ背丈だが横に大きいポッチャリ目の小島亮君。
「はっはい!」
「ダッシュだ!ダッシュ」
「ったくっ!何で私が1年のっ、しかもヒヨッ子を見なきゃいけないのよ」
言い得て妙ですね!はい!私達は黄色のビブスを着せられ先輩方と一線を外されてますので、まさにひよ子でございます。ピヨピヨ
2年の三枝ミチル先輩が只今鬼教官よろしく!私達新人をいたぶっている・・・基!鍛えてくれていた。
小島君はフェンスにしゃがみ込み、とうとう動かなくなった
「小島ー!お前は今から外周5周してこい!」
容赦ない三枝先輩の怒号が飛ぶ。
それでも小島君はゆっくり体をお越しコートの外に出て行く。
頑張れ小島亮!いつか優しい女神が微笑みますよ!心の中で肉付きの良い背中にエールを送った。そして今日も練習は続く
そして翌日もヒヨッ子達は相変わらず全体練習を終えてひとかたまりになり待機中。
でも私にはただキツイ事だけではなかった。三枝先輩と交互に指導してくれるのは、わたしの桜井王子様っ!イエイエ桜井先輩が受持ってくれているのだ!(可鈴語が移ったかな?)
今日はその日なのだ!
「じゃあ皆!集まって」
いつものようにヒヨッ子1年生が桜井先輩を軸に円を作る。私も尻尾をフリフリしながら集まる。
「昨日までは一週間三枝と同じように練習して来たけど、少し練習の始めに鬼ゴッコをやります」
「鬼ゴッコ?」
みんなが疑問符。
「はい!陸上部には許可をもらったので、僕の時だけ校庭のグラウンドを使って練習します。簡単な話し、鬼の僕から逃げ切れれば皆の勝利。次回から練習方法を変えます。但し、逃げ切れなければ今まで通りの練習をやっていくからね」
桜井先輩は爽やかな笑顔でみんなに説明していく。
「先輩。もし先輩から逃げ勝ったとしても三枝先輩の練習は今のままですか?」
誰かが言う。
「いや、三枝も変えてもらうからよろしく」
周りを見るとみんなホッとした顔をしてる。それもそうだ今までの練習は外周10周にダッシュ100本。
地味にキツイ。更に三枝先輩の機嫌で倍多目に走る時もあるのだ。それがたったの5周(トラック1周200メートル計1㎞)逃げ切れれば解放される
桜井先輩素敵!逃げ足には自信があるのだ!
早速校庭のグラウンドに移動。そして鬼ゴッコが始まる。
ルールを思い出す、『一つ、トラックの4レーン以上は膨らまない事。一つ後退して逃げては行けない。つまり桜井先輩より先に5周してゴールすれば勝利』である。今までの外周に比べれば楽だ。
陸上部の練習を横目にグラウンドを見渡す。半周遅れの位置つまりトラック円上の反対側に桜井先輩がにいる。
「じゃあ行くぞ!ヨーイはじめっ!」
先輩が手を叩き走り出す。そしてみんなも押されるように一斉に走る。
みんな桜井先輩との半周の距離があるのに余裕なのかリラックスしながら走って行く。
しかし2周走った頃から徐々に距離を縮めてきた!誰かが言った!
「おい!ペース上げろ!捕まるぞ」
みんな一斉に後ろを見る!
既に40メートル程まで縮んでいた。「近い!」桜井先輩はニ・ン・マ・リ・とした笑顔でこちらを見据えてる。
ヒヨッ子達は速度を早める、私もペースを上げる。
桜井先輩は猛スピードで追いついて来る。
「ヒィ」
「はい!」
小島君の肩に手を叩くと悲鳴共に桜井先輩の声が続く。
「ほら!捕まえるぞ!」
「ふぁっ」
「ほらっ逃げろ!」
「ワァッ」
「ほい」
「くっ」
「はい」
「はい!」
そして次々に先輩に肩を叩かれながら追いつかれる。
私もいつもの間にか叩かれ3周過ぎた辺りでは皆捕まった。
「じぁ今日も元気に外周から走ろうか」
先輩は爽やかに言い放った。
そして鬼ゴッコの練習は続く。桜井先輩の日には校庭のグラウンドから始まる。皆一様に今日こそはと息巻くが、結果は惨敗である。
桜井先輩の加速には驚かせられる。前回は4周目から行きなり追い付き、あれよあれよと言う間に終わる。その前はスタート直後の追い上げで、2周するまでには全員捕まった。
小島君等は足が遅い分距離を離すつもりか初めにダッシュするも徐々にスピードダウンして直ぐに捕まる。
そんなかんなでヒヨ子達は色々と考える。
最近ヒヨ子組をまとめ始めている遠藤君が練習終わりにヒヨッ子達に声をかけた。
「なぁ皆、今度桜井先輩の鬼ゴッコ勝ちたくない?」
「そうだな何だかんだで三枝先輩より結構キツイよな」
「そうだな」
「だけど桜井先輩めちゃ早いぞ」
「だから皆で考えるんだよ」
下校途中にあるコンビニ前で作戦会議はバス三台分の時間を要した。
幡野家家訓の『迷ってもこうと決まれば只邁進するのみ』だ!
部活の先輩達とネット情報からの知識でテニスのイロハを勉強する。
部活内容としては、放課後部員全体で、ストレッチを行い、軽く校舎の外周を走り、腕立て伏せ、腹筋背筋のトレーニングと基礎運動を終え素振りを行う。これで全体練習は終わる。
そうすると、3年生と2年生、1年生の中でも硬式テニス経験者は一緒にボールの打ち合いを始める、体が暖まるとミニ試合を行う。
しかしテニス初心者の1年生はというと、全体練習が終わっても、ひたすらマラソンとテニスコートの端から端の反復ダッシュだ。ボールには触れずにただそれだけ。入部して1週間、それは続く。
私は中学時代バスケで慣らした体力に自信があったので結構ついては行けた。それでもついていくのがやっと。初心者8名の内、半分は着いてこれていなかった。その中でも特に目に余る程へばっている男子部員がいた。
「小島ー早く走れ!」
私と同じ背丈だが横に大きいポッチャリ目の小島亮君。
「はっはい!」
「ダッシュだ!ダッシュ」
「ったくっ!何で私が1年のっ、しかもヒヨッ子を見なきゃいけないのよ」
言い得て妙ですね!はい!私達は黄色のビブスを着せられ先輩方と一線を外されてますので、まさにひよ子でございます。ピヨピヨ
2年の三枝ミチル先輩が只今鬼教官よろしく!私達新人をいたぶっている・・・基!鍛えてくれていた。
小島君はフェンスにしゃがみ込み、とうとう動かなくなった
「小島ー!お前は今から外周5周してこい!」
容赦ない三枝先輩の怒号が飛ぶ。
それでも小島君はゆっくり体をお越しコートの外に出て行く。
頑張れ小島亮!いつか優しい女神が微笑みますよ!心の中で肉付きの良い背中にエールを送った。そして今日も練習は続く
そして翌日もヒヨッ子達は相変わらず全体練習を終えてひとかたまりになり待機中。
でも私にはただキツイ事だけではなかった。三枝先輩と交互に指導してくれるのは、わたしの桜井王子様っ!イエイエ桜井先輩が受持ってくれているのだ!(可鈴語が移ったかな?)
今日はその日なのだ!
「じゃあ皆!集まって」
いつものようにヒヨッ子1年生が桜井先輩を軸に円を作る。私も尻尾をフリフリしながら集まる。
「昨日までは一週間三枝と同じように練習して来たけど、少し練習の始めに鬼ゴッコをやります」
「鬼ゴッコ?」
みんなが疑問符。
「はい!陸上部には許可をもらったので、僕の時だけ校庭のグラウンドを使って練習します。簡単な話し、鬼の僕から逃げ切れれば皆の勝利。次回から練習方法を変えます。但し、逃げ切れなければ今まで通りの練習をやっていくからね」
桜井先輩は爽やかな笑顔でみんなに説明していく。
「先輩。もし先輩から逃げ勝ったとしても三枝先輩の練習は今のままですか?」
誰かが言う。
「いや、三枝も変えてもらうからよろしく」
周りを見るとみんなホッとした顔をしてる。それもそうだ今までの練習は外周10周にダッシュ100本。
地味にキツイ。更に三枝先輩の機嫌で倍多目に走る時もあるのだ。それがたったの5周(トラック1周200メートル計1㎞)逃げ切れれば解放される
桜井先輩素敵!逃げ足には自信があるのだ!
早速校庭のグラウンドに移動。そして鬼ゴッコが始まる。
ルールを思い出す、『一つ、トラックの4レーン以上は膨らまない事。一つ後退して逃げては行けない。つまり桜井先輩より先に5周してゴールすれば勝利』である。今までの外周に比べれば楽だ。
陸上部の練習を横目にグラウンドを見渡す。半周遅れの位置つまりトラック円上の反対側に桜井先輩がにいる。
「じゃあ行くぞ!ヨーイはじめっ!」
先輩が手を叩き走り出す。そしてみんなも押されるように一斉に走る。
みんな桜井先輩との半周の距離があるのに余裕なのかリラックスしながら走って行く。
しかし2周走った頃から徐々に距離を縮めてきた!誰かが言った!
「おい!ペース上げろ!捕まるぞ」
みんな一斉に後ろを見る!
既に40メートル程まで縮んでいた。「近い!」桜井先輩はニ・ン・マ・リ・とした笑顔でこちらを見据えてる。
ヒヨッ子達は速度を早める、私もペースを上げる。
桜井先輩は猛スピードで追いついて来る。
「ヒィ」
「はい!」
小島君の肩に手を叩くと悲鳴共に桜井先輩の声が続く。
「ほら!捕まえるぞ!」
「ふぁっ」
「ほらっ逃げろ!」
「ワァッ」
「ほい」
「くっ」
「はい」
「はい!」
そして次々に先輩に肩を叩かれながら追いつかれる。
私もいつもの間にか叩かれ3周過ぎた辺りでは皆捕まった。
「じぁ今日も元気に外周から走ろうか」
先輩は爽やかに言い放った。
そして鬼ゴッコの練習は続く。桜井先輩の日には校庭のグラウンドから始まる。皆一様に今日こそはと息巻くが、結果は惨敗である。
桜井先輩の加速には驚かせられる。前回は4周目から行きなり追い付き、あれよあれよと言う間に終わる。その前はスタート直後の追い上げで、2周するまでには全員捕まった。
小島君等は足が遅い分距離を離すつもりか初めにダッシュするも徐々にスピードダウンして直ぐに捕まる。
そんなかんなでヒヨ子達は色々と考える。
最近ヒヨ子組をまとめ始めている遠藤君が練習終わりにヒヨッ子達に声をかけた。
「なぁ皆、今度桜井先輩の鬼ゴッコ勝ちたくない?」
「そうだな何だかんだで三枝先輩より結構キツイよな」
「そうだな」
「だけど桜井先輩めちゃ早いぞ」
「だから皆で考えるんだよ」
下校途中にあるコンビニ前で作戦会議はバス三台分の時間を要した。