虹色のキャンバスに白い虹を描こう
ていうか、と彼が不服そうに呟く。
「おまえがそんなに絵うまいとか聞いてないし! ずるだろ、ずる!」
「勝負しかけてきたのそっちでしょ」
「入るのはいいけど、……ゆ、ユイに、ちょっかい出すなよ」
「小学生に興味ないし、君の邪魔もしない」
「はあ!? お、おれは別に関係ないけど!?」
その意地の張り方で誤魔化せているつもりなのだろうか。あまりにも分かりやすくてため息が出る。
「わたるくんの絵すご! 写真みたい!」
「どうやって描いたらこんなふうになんのー?」
タイガとの勝負は思いのほか興味をそそるものだったらしく、ふと顔を上げると子供たちが僕とタイガを囲うようにして集まっていた。
勢いに圧倒されつつ、ぼんやりと彼らの様子を眺めていると、唐突に後ろから肩をたたかれる。
振り返れば案の定、純と目が合った。彼の笑みが深まり、何だか嫌な予感がする。
「お前、今日から副サークル長な」
「は?」
「高校生少ねーんだわ。俺が最年長、で、次がお前」
そういうわけだから、よろしく。
二、三度ダメ押しのように僕の肩をたたき、純が立ち上がる。
「俺このあと予定あるから、後は任せた。分かんないことあったら清に聞け」
「ちょ――は、……はあ?」
彼を追いかけようにも、子供たちに捕まって動けない。遠ざかる背中を呆然と見送り、頭を抱えたくなった。