虹色のキャンバスに白い虹を描こう
かくして彼女を連れてやってきたのは、いつかのアイス専門店だ。土曜日ということもあってか、店内はかなり賑わっていた。
「ええと……航先輩、そんなにアイス食べたかったんですか?」
戸惑い気味に尋ねてくる清から目を逸らし、言葉に詰まる。
別にアイスにはさほど興味はなく、思いつきで来てしまっただけだった。他に彼女の好きなものなんて知らない。
「あ、分かった! 今回の誠意ですね? 私買ってきます、バニラでいいですか?」
勝手に結論付けた彼女が走り出すのを、慌てて腕を掴んで引き留める。
「そうじゃなくて。……いい。僕が買ってくる」
「え、」
散々悩んで自分で決めたことを、彼女の責任だと押し付けるような人間だと思われるのは心外だ。否、そう思われるような行動を取ってきた僕が悪いのは承知している。
固まる清に「そこで待ってて」と言い残し、店内に足を踏み入れた。
以前彼女はバニラを二つ注文していたけれど、確か一番好きな食べ物はいちごだと言っていたはずだ。
バニラを一つ、それからストロベリーを一つ注文し、清のもとに戻る。
「あ、ありがとうございます……あれ?」