虹色のキャンバスに白い虹を描こう



どことなく元気がない。素直な感想としては、それだった。


「清、聞いてる?」


今一度問いかけると、彼女は我に返ったように顔を上げ、「ああ、はい」と曖昧な返事を寄越す。

ここのところ、ずっとこの調子だ。
清と放課後、再び出掛けるようになってから二週間ほどが経つ。最初に違和感を覚えたのは一週間前だった。思案顔で宙を見つめる彼女の様子に、何かが変だと感じたものの、その時は気のせいだろうかとあまり深く受け止めていなかった。

しかし、日に日に彼女の表情が暗くなっているのは明白で、僕にはその原因が分からない。


「今日はもう帰ろう」


そう切り出してスケッチブックを閉じれば、清が焦ったように首を振る。


「え、だ、だめです、ごめんなさい、私がぼーっとしてたから……」

「いや、いいよ。どうせ明日もサークルあるし」


半分本当で、半分嘘だった。サークルではどうしても下の子たちの面倒をみなければならない。そもそも、楽しむという目的で集っているのだから、別段集中して作業ができる環境ではないのだ。

けれども、今は彼女の体調の方が気がかりではある。
それとなく原因を探るつもりで、僕は質問を投げた。


「頭痛持ち?」

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