虹色のキャンバスに白い虹を描こう
*
どことなく元気がない。素直な感想としては、それだった。
「清、聞いてる?」
今一度問いかけると、彼女は我に返ったように顔を上げ、「ああ、はい」と曖昧な返事を寄越す。
ここのところ、ずっとこの調子だ。
清と放課後、再び出掛けるようになってから二週間ほどが経つ。最初に違和感を覚えたのは一週間前だった。思案顔で宙を見つめる彼女の様子に、何かが変だと感じたものの、その時は気のせいだろうかとあまり深く受け止めていなかった。
しかし、日に日に彼女の表情が暗くなっているのは明白で、僕にはその原因が分からない。
「今日はもう帰ろう」
そう切り出してスケッチブックを閉じれば、清が焦ったように首を振る。
「え、だ、だめです、ごめんなさい、私がぼーっとしてたから……」
「いや、いいよ。どうせ明日もサークルあるし」
半分本当で、半分嘘だった。サークルではどうしても下の子たちの面倒をみなければならない。そもそも、楽しむという目的で集っているのだから、別段集中して作業ができる環境ではないのだ。
けれども、今は彼女の体調の方が気がかりではある。
それとなく原因を探るつもりで、僕は質問を投げた。
「頭痛持ち?」
どことなく元気がない。素直な感想としては、それだった。
「清、聞いてる?」
今一度問いかけると、彼女は我に返ったように顔を上げ、「ああ、はい」と曖昧な返事を寄越す。
ここのところ、ずっとこの調子だ。
清と放課後、再び出掛けるようになってから二週間ほどが経つ。最初に違和感を覚えたのは一週間前だった。思案顔で宙を見つめる彼女の様子に、何かが変だと感じたものの、その時は気のせいだろうかとあまり深く受け止めていなかった。
しかし、日に日に彼女の表情が暗くなっているのは明白で、僕にはその原因が分からない。
「今日はもう帰ろう」
そう切り出してスケッチブックを閉じれば、清が焦ったように首を振る。
「え、だ、だめです、ごめんなさい、私がぼーっとしてたから……」
「いや、いいよ。どうせ明日もサークルあるし」
半分本当で、半分嘘だった。サークルではどうしても下の子たちの面倒をみなければならない。そもそも、楽しむという目的で集っているのだから、別段集中して作業ができる環境ではないのだ。
けれども、今は彼女の体調の方が気がかりではある。
それとなく原因を探るつもりで、僕は質問を投げた。
「頭痛持ち?」