虹色のキャンバスに白い虹を描こう
清が積極的に僕を避けていると感じたのは、更に数日後のことだ。
休み時間、一年生の教室を訪ねてみても彼女の姿は見当たらなかったし、彼女と同じクラスの人に声を掛けても曖昧に濁されるだけだった。僕の顔を見るなり、示し合わせたようにうろたえる彼女のクラスメートの様子からして、「航先輩が来たら私のことは知らないって言っておいて」とでも伝えられているのだろう。
会いに来ないというのはまだ分かるにしろ、まさかここまで徹底的に逃げ回られるとは思っていなかった。
会いたくない、という意思表示なのだろうか。どっちみち、いま無理やり追いかけるのは得策ではない。
その週の土曜日。「なないろ」の集まりにも当然と言うべきか、彼女はいなかった。
「じゅんくん、今日さやかちゃんいないの?」
気落ちしたトーンで放たれたその質問に、耳をそばだててしまう。
純は「ああ」と軽く頷いてから続けた。
「前から学校の友達と遊びに行く約束してたんだと。どーしてもずらせないって言ってた」
「ふうん……」
「はは、そんな顔するなって。来週は来るよ」
この時点では、純も本当にそう思っていたのだろう。
ただ結論としては、次の週も彼女が現れることはなかった。