虹色のキャンバスに白い虹を描こう
得意げに人差し指を立てた女の子が、画用紙を半分に折り、クレヨンで「しょうたいじょう」と綴った。
「えーっと……つぎの土よう日、プレゼントをわたしたいので、ぜったいに来てください」
「プレゼント?」
「わたるくんが用意しないとだよ! 仲直りする時はね、ごめんなさいって言って、その子の好きなものあげたほうがいいよ」
全然女の子の気持ち分かってないんだから、といったニュアンスで僕にアドバイスを寄越してくる彼女たちに、弁明する気力はない。とりあえず頷いておくことにする。
チューリップや蝶々、リボン、ドレス等々。空いたスペースに描き足されていくイラストは脈絡こそないけれど、随分と賑やかだ。
清はそれだけ子供たちに必要とされている存在で、いい加減にきちんと会って話さなければいけない、というのは日に日に強く感じていた。
「できた! じゅんくーん、これさやかちゃんにわたしてー!」
「わたるくんからって言っちゃダメだよ! わたしたちが書いたんだもん!」
そうだよー、と追随する子供たちの頭を、純が一つひとつ撫でていく。
「分かった分かった。渡しておくから、まずそこらへん片付けてなー」
彼の指示に素直に従って散らばっていく、小さい背中。そこから視線を戻せば、純が手招きしつつ僕を呼んでいた。
「……なに?」
「お前、清と喧嘩ってマジな話か?」