虹色のキャンバスに白い虹を描こう
正直なところ、それは予想の範囲内だ。むしろ昨日の時点で彼がすんなり頷いたのが不思議なくらいである。
「そういうことだから、お前の話は俺が聞く。できる限り、清には伝えるけど」
「うん。分かった」
ひとまず納得しておくことにして、僕は聞き分けの良い返事を寄越した。
通されたのはリビングで、両親は出掛けているらしい。二階の部屋に清がいるとのことだった。
四人掛けテーブルで純と向かい合う形で座る。彼がグラスを二つ置いて、僕を見やった。
「烏龍茶で良かったか?」
「ああ……うん、ありがとう」
ギンガムチェックのコースター。それと同じ柄の布でつくられたケースがティッシュ箱を覆っている。
彼の背後にあるキッチンのカウンターには家族写真が飾られており、この家の空気が温かいのは明白だった。
「で? 話したいことって何だよ。お前に次期サークル長を任せたいって話か」
僕ら高校生組がテスト期間だということもあって、「なないろ」は今日と来週が休みになっている。昨日、純に電話をしたとき真っ先に言われたのはそのことだった。
「それは昨日断っただろ」
「言っとくけど、拒否権ないからな。俺が卒業したら必然的にお前が最年長なんだから」