虹色のキャンバスに白い虹を描こう
今から彼に言われることの内容は大体予測できた。しかし、その予測を裏切る形で彼は告げたのだ。
「清と同じなのか?」
見開かれた目は純粋な驚きを表している。そしてまた僕も、彼と似た心境であるのかもしれなかった。
――同じ、とは。どういうことだ。
お互い黙り込んで落ちた沈黙に、彼は項垂れる。
「……そうか。そうだったのか」
吐息交じりの独り言だった。少なくとも、僕はそう感じた。
ゆっくりと顔を上げた彼が、幾分か柔らかい眼差しを覗かせる。
「悪かった。俺はてっきり、お前が清のことをからかったんだと思って」
美波さんは僕のことをよく話していたようだ。恐らく彼女に怒鳴った日のことを、彼に相談でもしたのだろう。早とちりをした兄が、こうして殺気立っていたわけだ。
「さっきのお前が言ったこと……清がお前に『障害者』って言ったのは、本当なのか」
正確には、僕に直接投げかけたというよりも、色覚異常を「障害」と捉えていると言った方が正しいかもしれない。
僕は自分の見ている世界が、自分の目が嫌いだ。しかしそれを「障害」だと思ったことはなかった。どんなに汚れて最悪だったとしても、僕にとってはこの世界が全てであったし、この世界しか知らない。
だから嫌だった。腹が立った。僕にとっての当たり前を、腫れ物のように扱われることが。
「……いや、」