虹色のキャンバスに白い虹を描こう
見下してくる奴らなんて、こっちから願い下げだ。相手にしなくていい。
傷ついてまで善人であろうとしなくたって、僕らは生きていける。痛みを知っていればそれでいい。今以上に傷つく必要も、自分を蔑ろにする必要もないのだから。
「みんなと友達にならなくて、いいの?」
「なりたいならなればいいし、なりたくないならならなくていい。人を馬鹿にするやつと、君は友達になりたいの?」
「だって、先生がみんなと仲良くしなさいって言ってた……」
「君の先生が言う『仲良く』は、『我慢する』っていうことだよ。その方が便利だから、大人はみんなそう言う」
喧嘩もなく、平和に。たとえ海底で渦巻いていても、水面が穏やかであること。教師はそれを望んでいる。
「仲良くしろと言われたら、心の中で『我慢しろ』に変換する。耐えられないと思ったら、その時は怒っていいんだ」
自分自身のSOSに鈍くならないように。自分の感情に疎くなることは、非常に危険だ。
沈黙が落ちる。これまで子供相手に長々と喋っていたことが、急に気恥ずかしくなってきた。
「お兄ちゃん、変なの。先生と反対のこと言う……」
でも、と。赤いクレヨンを握り締めて、その子は笑った。
「今度からちゃんと怒るようにするね。お兄ちゃん、ユイと友達になってくれる?」