虹色のキャンバスに白い虹を描こう
平然と告げた自分の声に、自分で驚いた。
酸素を吸って二酸化炭素を吐く、それと同等なまでの当然さを含んで、僕は自らの弱みをさらけ出していた。否、僕にとってこの事実は呼吸をするのと同じだ。生まれてからずっと、これが当たり前なのだ。
それを隠し通そうとするのは、自然の摂理に逆らっている。だから今までずっと、どこかで嚙み合わない歯車が生じていたのだろう。
僕の発言に、少年たちの表情が曇ったのが分かった。
「タ、タイガ、おまえ、謝った方がいいよ」
弱々しい語調で真っ先に訴えたのは、猫背の少年だ。
タイガ、と呼ばれた彼は、いかにも気が強そうで、この集団のリーダーといったところだろう。
「はぁ? 何で? おれ、ほんとのこと言っただけだし!」
「でも……」
空気が険悪になり始めそうなところで、僕は「いいよ」と彼らの会話を遮った。
「別に謝らなくていい。君の言う通り、君は事実を言っただけだ」
「え……」
「自分が悪いと思っていないのに謝る必要はない」
それは、今日最初に出くわした少女にも投げかけたはずの主張だった。ぴょこぴょこと跳ねるツインテールの毛先を思い起こしていた時、まさにその声の主が現れる。
「ちょっと、タイガくん! わたるお兄ちゃんに何してるの!」