クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「良かった。ゆっくり梓と話がしたかったんだ。」
「…話?」
改めてリビングルームのソファーに向かい合って座った。
「結婚しよう、梓。」
「その話は…。」
梓は嫌そうに顔を背けたが、航は敢えてその話をしたかったのだ。
「聞いてくれ。梓。あの頃の俺の事。」
「10年前の事?」
「ああ…。どうしようもないヤツだったよな。」
「そんな…。」
「見栄っ張りで、気が弱いくせに強がって…。君の前ではカッコつけてた。」
「そんな事ないわ。あなた、いつも頑張ってたし。」
「君の前では弱みを見せたく無かった。でも、会社が倒産して無職になって…」
「航…。」
「全てが狂ってしまった。君を働かせるのが心苦しくて…。」
「そんな事!」