クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


「良かった。ゆっくり梓と話がしたかったんだ。」

「…話?」

改めてリビングルームのソファーに向かい合って座った。

「結婚しよう、梓。」
「その話は…。」

梓は嫌そうに顔を背けたが、航は敢えてその話をしたかったのだ。

「聞いてくれ。梓。あの頃の俺の事。」

「10年前の事?」
「ああ…。どうしようもないヤツだったよな。」

「そんな…。」

「見栄っ張りで、気が弱いくせに強がって…。君の前ではカッコつけてた。」

「そんな事ないわ。あなた、いつも頑張ってたし。」

「君の前では弱みを見せたく無かった。でも、会社が倒産して無職になって…」

「航…。」

「全てが狂ってしまった。君を働かせるのが心苦しくて…。」
「そんな事!」


< 101 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop