クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「美晴、お利口にしてた?」
「お利口って…お母さん、私はもう小学3年生だよ。」
美晴はちょっと頬を膨らませた。
「大丈夫よ、梓。美晴はお姉ちゃんらしく小さい子の面倒を見てくれたよ。」
良子が上手くフォローしてくれたので、ご機嫌は直ったようだ。
「ゴメンゴメン。ありがとね、美晴。ギューさせてちょうだい。」
「もう~、ちびっ子の前で恥ずかしいからやめてくれない?」
もうすぐ10歳になる美晴は、近頃大人びた言葉で喋るようになってきた。
母として、嬉しいような寂しいような複雑な気分だ。
「いいじゃない。疲れたんだもん。ギューッ!」
構わずに、梓は美晴を抱きしめた。
ちょっと釣り目がちなキリっとした顔立ち。
小顔で手足が長く、小学三年生にしては背は高い方だ。
どれをとっても、自分よりはさっき会った美馬航の面影ばかりではないか。
「美晴は私の大事な娘なんだからね~。」
「昼間から酔っぱらいみたいだよ、お母さん。」
口では嫌そうにしながら、美晴は梓の抱擁を受け入れる。
そこはまだ小学生だ。本当に可愛らしい我が子の姿に梓は安堵した。