クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「母さんと美晴は?」
「母さんの離れで一緒に寝るんだって。もうとっくに眠ってる時間です。」
「あ、そう…。」
「お兄ちゃん、着替えたらリビングに来てね。」
「はい…。」
10分もしない間に、二世帯住宅の二階部分から健吾が降りてきた。
リビングのソファーに座ると、佳苗がビールを置いた。
「お疲れ様でした。」
「ああ…。」
ひと口ビールを飲んだが、妹の冷たい視線のせいかより苦く感じる。
「それで、話って?」
兄らしく主導権を握ろうと、話を振った。
「今日、私が清掃を頼まれて行った会社。」
「ああ…。」
「知ってたの?」
「………おまえ、会ったのか?」
「今朝の会社の清掃が、どうかしたの?」
グッド・クリーンの専務として、佳苗も気になるのか話に加わった。
「会ったわよ。何で、言ってくれなかったの?」
「そりゃ、掃除するお前と奴がすれ違う事なんて無いと思ったし、
まさか早朝から奴が会社にいるなんて思いもしなかったから…。」
「ねえ、いったい何の話なの?」