クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


「美晴の…父親の話。」
「ええっ!みいちゃんのパパ、佐柄物産(さがらぶっさん)の関係者なの?」

「違う違う、今度佐柄を吸収合併した外資系新会社の社長代理だよ。
 アメリカから優秀な日本人が来たって噂になってただろ?」

「知らなかった…みいちゃんのパパ、凄い人なんだね。」
「佳苗さん、10年前は彼、無職だったから。」

「そうなの?その人、頑張ったのねえ。久しぶりの日本なんでしょ。
 大きくなった美晴ちゃんと会いたいんじゃない?」


梓と健吾が沈黙した。

半年前に結婚した佳苗は、10年前の事を何も知らないのだ。
あれこれ疑問に感じても仕方がない。

「ゴメンね、佳苗さん。詳しく話して無かったから…。
 あの人、美馬航(みまわたる)には別れる時、妊娠してた事は伝えてないの。」

「まさか!じゃ、その人は美晴ちゃんの存在を知らないの?」

佳苗は絶句して、目を見開いていた。
まさか、可愛い姪っ子の父親があの子の存在を知らないなんて…。

「梓…お前、未練ないのか?子供の名前にアイツから一文字もらってるし。」

「未練だとかバカな事言わないで!名前は、あの子が生まれた日
 とっても良く晴れて空がキレイだったから付けただけです!」



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