クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!

 ため息をついていたら、ノックの音がして清掃会社の職員が入ってきた。

勤務が始まる前の清掃を頼んでいたから、早朝に来たのだろう。

少し顔を上げて清掃員を見たが、いつものふくよかな女性では無かった。
ほっそりと小柄で、華奢な感じがする。若い女性の様だ。

この清掃会社の制服が可愛いと男性社員が言っていたのを思い出す。
いつもの担当者だとその意味がわからなかったが、確かに彼らの言う通りだ。

水色のストライプのシャツと同じストライプの細身のパンツ。
踝丈なので、キュッと引き締まった足首が見える。
ポケットの沢山ついた水色のエプロンを身に付けると爽やかさが増す様だ。


マスクをしているから顔立ちは良く分からないが…何か違和感があった。

さっき、ノックして入ってきた時は額が見えていたような…気がする。

今は、長い前髪で顔の上半分も殆ど見えない。

その若い女性は、無言でペコリと礼をすると、社長室の掃除に取り掛かった。




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