クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「クラスのあやちゃんが言ってたよ。お父さんって、便利なんだって。
ゴミ出ししてくれるし、お買い物とか遊園地に行くときは運転手してくれて
欲しいもの一杯買ってくれて、重た~い荷物を全部持ってくれるんだって!」
「へえ~。そうなんだ…。」
「ま、うちはお父さんいないから、便利な人もいないんだよね。」
美晴はヘラヘラ笑っていた。梓には笑えない冗談だ。
娘が抱く『お父さん』のイメージがあまりに偏っている。
美晴には、『お母さんはお父さんの事、大好きだった。』と小さい頃から伝えていた。
でも、具体的に『お父さん』のイメージは話してこなかった。その役割も。
『困ったな…何て言えばいいんだろう…。』
美晴は小さい頃から、梓に『お父さん』について尋ねた事は無かった。
よく考えたらあり得ない事なのに、梓は聞かれないのを良い事に
娘と父親について話すのを避けてきたのだ。