クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


ペーパータオルで何度もたたく様にしてコーヒーを吸い取っている様だ。

ある程度取れた様に見えた時、清掃員はサッと部屋から出て行った。

『これくらいの汚れ、気にしなくてもいいって言おうかな…。』

どうせ、近々社長室の模様替えをしたかった。カーペットも変えてしまおうか。


清掃員は給湯室から湯を持って来た様だ。
汚れを浮かせて、また乾いたタオルでふき取っている。

根気のいる作業だ。最後に、何かスプレーの洗剤を使っていた。


今、航が見とれているのは綺麗になっていくカーペットでは無い。

床にしゃがみ込んで、膝をつき、せっせと手を動かしている女性の
形の良いヒップが上下に揺れて動くさまだった。


彼が、もう何年も忘れていた()がこみ上げてくる。

『彼女に触れたい…。』


無意識に、航は自分に背を向けて作業をしている清掃員に近付いた。

その真横に回り込み、しゃがんで声を掛けてしまった。

「ありがとう、ずいぶんきれいになったよ。」

声があまりにも近くから聞こえて驚いたのだろう。
清掃員が条件反射の様に顔を上げた。



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