クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「いつ、東京へ?竹本君、北海道支店だったじゃない。」
航の友人だった竹本信也は、大手保険会社に就職していた。
ほぼ数年で全国あちこちに転勤するから、由梨とも中々会えずにいたのだ。
「この夏こっちに帰ってきたんだけど、引っ越し疲れで私がバテちゃって。」
「大丈夫なの?」
「チョッと寝込んだんだけど、痩せないのよお~。」
「もう、由梨ってば。」
「梓はちっとも変わらないね。」
学生時代と洋服のサイズが変わらない梓を、由梨は羨ましそうに眺めた。
「やだ、そんなに見ないでよ…。」
「時間があったら、お喋りしたいなあ。」
「今日は無理なんだ。明日なら、ランチタイムがゆっくり取れそうよ。」
「じゃ、明日また新宿に来るわ。ランチしましょ。」
「お子さん大丈夫なの?」
「明日は土曜日だし、ダンナに見てもらうもん。」
「じゃあ、明日。」
「学生時代みたいに、あそこの本屋でね。」
「りょうかい。」