クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「何故、言わなかったんだ!」
航が、堪えきれずに大声を出した。
「何故?それをあなたが言うの?」
「…どういう事だ。」
逆に冷静になってきた梓は、冷淡に答えている。
「あの日、カフェであなた自分が何て言ったか覚えてる?」
「俺の言った言葉?」
「そうよ、私は一字一句忘れていないわ。」
航は黙り込んだ。必死で思い出そうとしている様だ。
「覚えてないのね…。あなたにはその程度の言葉だったんだ。
こう言ったのよ。子供なんか出来てたら、最悪だったよな俺たちって。」
航が息を飲むのがわかった。信じられないという顔をしている。
「それからこうも言ったわ。子供を作らなくて良かったって。
子供がいないから、キレイに別れられるって言ったのよ。忘れちゃった?」
「まさか…そんな…。」
「目の前でそんな事を言ってる人に、子供が出来ましたなんて…。
私には無理。言えるわけなかった。」
「それでも、教えて欲しかった…。」
航は振り絞るように声を出した。
「子供の存在を知らずに俺は10年生きてきたんだぞ!」
彼の顔は、怒りで赤くなっている。
「それが何?」
冷たく梓は言い放った。