クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「あなたは、私と離婚する事を選んだわ。」
「梓…。」
「私…。何度もあなたに言ったよね。やり直そう。やり直せるって。」
「でも、あの頃の俺は仕事も無くて…。」
「それでも!」
梓はソファーから思わず立ち上がった。
「それでも良かったのよ、私は!」
「梓…。」
「仕事が決まらなくてイラついているあなたを見るのは辛かった。
でも、決まるまで私が働けばいいんだし…二人なら何とかなると思ってた。」
「君に無理させたくなかったんだ!」
「若かったあの頃なら、好きな相手の為に無理できたのよ…。」
「俺は、君の幸せを願っていた。」
「あなたと別れるのが私の幸せだったと言いたいの!」
「ああ…。」
「その結果が、今なのよ。」
「美晴の父親は、俺だ。」
「いいえ、あの子に父親はいない。」
「父親として会わせて欲しい。」
それを言われるのは覚悟していたが、離婚当時の話を蒸し返して
梓の心は乱れていた。もうこれ以上、今夜は航の顔を見たくない。
「それは…少し考えさせて。今夜もう話したくない。これで、失礼するわね。」
部屋から急いで出て行こうとする梓の腕を航が掴んだ。
「梓、結婚しよう…。」