クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
「梓ちゃん、おばあちゃんに聞いたんだけど
美晴ちゃんたら、美馬のおじさんが来たってとっても喜んでたみたい。」
「佳苗さん…。」
健吾が美馬航を連れて来た時、佳苗は仕事で留守だったらしい。
「私が仕事から帰ってきた時には、もう美馬さんはいなかったけど、
美晴ちゃんが美馬のおじさんと一緒に遊んだってご機嫌だった。」
「そうだったんですか。」
沢山のプレゼントをもらったのだ、それは喜んだことだろう。
生活に不自由はさせていないが、おもちゃが有り余るほど買える訳では無い。
「梓ちゃんは、彼の事、どう思ってるの?」
「どうって…。」
「もう、愛せないのかな?」
「佳苗さん…。」
愛せないのではない、愛したくないのだ。
自分の娘を産んだというだけで『結婚しよう』と言う男を愛したくないのだ。
『美晴のためにと言われても、我慢できない…。』
母親なのに我儘だと言われるかもしれない、我慢しろと言われるかもしれない。
でも再婚するなら、梓自身を必要だと言ってくれる人がいい。
美馬と別れてから、男性とは縁を切って生きてきた。
愛しあっていると信じていた人とだって、別れる時はあっけないものだった。
あんな想いは二度とゴメンだ。
娘の為にというだけで復縁を迫ってくる男とは一緒にいられない。
『愛しているから君と結婚したい』なんて、二度とあの人は言ってくれないだろう。