クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
パート7
翌日から、屋代健吾の会社、『屋代セキュリティー』は忙しくなった。
美馬航が社長代理を務めているのは日本支社だが、
その親会社にあたる外資系企業のCEOが、吸収合併した『佐柄物産』の
その後の様子を視察に訪れたのだ。
ふた月以上かけて航は杜撰だった収支状況を明らかにし、債務整理もした。
今後の展望として、湾岸の物流センター建設の計画も立ち上げていた。
以前から『佐柄物産」が所有しながら遊ばせていた土地に、AIを利用した
最新システムの巨大倉庫を作ろうというもので、今回の視察の目玉だ。
5日間の予定で来日したディック・マーレーCEOは、
母国でも有名な企業家で、ビジネスに対し厳しい目を持っている。
その人物に認められたら、航としてもビッグチャンスになるかもしれない。
健吾の会社も万全の態勢で警備にあたっていたし、
随行する航をはじめとした社員達も、CEOからの質問に的確に答えていた。
日程は滞りなく進み、CEOの日本支社に対する評価はまずまずのようだった。