クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!


今回の視察はタイトなスケジュールを組んでいたが、
帰国前日はマーレー氏の希望で、都内の観光を予定の中に入れていた。

視察が終わったCEO本人はリラックスした様子で観光を楽しんでいる。
特に浅草は気に入ったらしく、スカイツリーを訪れる頃にはご機嫌になっていた。

ソラマチにある沢山の土産物店にも気軽に立ち寄り、ふらりふらりと
あちこちの店をひやかし始めたので、健吾たちはCEOの周りを固めた。

『カワイイ!』と言って、店の小物を手にするマーレーCEOに
彼の相手を勤めていた航は、不思議に思って尋ねた。

『もし、お土産を購入なさるのでしたら銀座へご案内いたしましょうか?』

『ありがとう、ワタル。でも、ここで孫たちひとりひとりの顔を思い浮かべ、
 その子の喜ぶ顔を想像しながら買うのが楽しいんだよ。』

『そうですか…。』

『その子に相応しいものをね、例えば日本のアニメが大好きな子とか、
 日本のお菓子が欲しい子とか…選んでいると喜ぶ顔が浮かぶんだよ。』

さっきまでの厳しいビジネスマンの顔ではなく、一人の好々爺の顔だ。

それを見て、航は先日の自分の行動を振り返っていた。



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