クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
ホッとどちらともなく、ため息をつく。
「毎日、賑やかで楽しそうだな。」
「楽しい?そうね。そう見えるかもしれないけど…戦いよ。」
「そうなのか?」
「食べる事も、勉強する事も…生活のすべてがね。」
「子育ての事は、よくわからないが…。」
「我が子は可愛いわ。でも、可愛いからって何にも知らない、
何にも出来ない子に育ててしまったら、あの子の為にならないよ思うの。」
「ああ…。わかるよ。」
初対面から、美晴はキチンと挨拶の出来る子だった。
梓や健吾たち屋代の家族から教えられて育ったのだろう。
「身内は少ないし、一人で生きていける子に育てなくちゃと思って…。」
子供の存在を伝えなかった航に対して言い過ぎたと思ったのか、梓は口ごもった。
「…私の心の中では、甘やかしたい気持ちと厳しく教えたい気持ちの
見えない戦いが続いているの。」
サラリと梓は子育ての話を打ち切った。
これまで自分から子育てについて話した事はなかったのだが、
美晴をどんな風に育てたいのか、誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。