クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
新宿校一階にある受付カウンターの奥に、卓の姿が見えた。
いつも塾に来る時と違って、少し様子がおかしい。
ニコニコ笑顔の活発な子が、硬い表情でチョコンとイスに座っている。
梓はわざと大きな声を出し、卓に声を掛けた。
「ゴメンね、卓くん。お迎え遅くなっちゃって!」
「屋代先生…。」
梓の顔を見て安心したのか、卓の目が潤んできた。
「美晴と来たんだよ。一緒にお昼食べに行こう!」
受付の皆川に、自分が家族に連絡する旨を伝えて卓を引き取った。
「ありがとう、助かりました皆川さん。」
「いえいえ…お休みでしたのに、こちらこそありがとうございます。」
ふと、皆川は梓の横に立っている美晴が目に入った様だ。
「先生のお嬢さんですか?」
「こんにちは!屋代美晴です。」
「はい、こんにちは。みはるちゃん、卓くんの事ヨロシクね。」
「は~い!」
「じゃ、行こうか。」
子供二人を連れて、梓は美晴のリクエスト通りハンバーガーショップへ向かった。