クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
美馬航は、社長室で不機嫌な顔を秘書の芳賀陽介に向けていた。
「どうかしましたか?社長?」
大学の後輩にあたる芳賀は、デスクに座る航に気軽に話しかけてきた。
「…朝ごはん何にしますかって…わざわざ電話してくるか?」
「いやあ、スマホに掛けたら出られなかったので…。」
「取り込み中だったんだ!」
「はあ…スミマセンでした?」
何故叱られるのか、いま一つわからない芳賀は取り敢えず誤った。
「ところで芳賀、このビルの清掃は何て会社が担当だったかな?」
「お気に召しませんか?丁寧だと評判なんですが。」
「いや、その反対だ。今日もコーヒーのシミを綺麗に落としてくれたよ。」
「でしょう?人気があって、中々ビル丸ごとの契約取れないんです。」
「だから、何て会社だ?」
「グッド・クリーンですよ。ほら、このビルの警備をお願いしている
屋代セキュリティーの系列会社です。」
「屋代…。」
「警備会社の系列ですから、安心安全だって業界で人気急上昇。
結構、個人でセキュリティと家政婦の契約している大物もいるらしいですよ。」
「屋代セキュリティーか…なる程ね。」
「ご存じでしたか?」
「ああ…昔チョッとな…。」