クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
どうやって航に話そうかと思っていたら、
その日、夜遅くなってフラリと梓のマンションを彼が訪ねて来た。
いつも身だしなみに気を使う人なのに、無精ひげが伸びて疲れた表情だった。
「遅くにすまない。」
「もう、美晴は寝てしまったけど…。」
「寝顔でもいい、ちょっと見ても良いか?」
「ええ…。どうぞ。」
航はすっかり慣れた様子で、玄関から美晴の部屋へ進んで行く。
音をたてないようにドアをそっと開けて、中を覗き込んだ。
「おや…。」
「あ、驚いたよね。今日、由梨のところの卓くん預かってるの。」
美晴が眠っている子供用のベッドの側に敷いた布団に、男の子が眠っていた。
「娘とボーイフレンドが寝てる所を見るって、イラっとするな…。」
「なに言ってるの、小学生よ。」
航は部屋の中に入って、美晴を覗き込んでいた。
梓はそっとその場を離れた。