クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
中野の駅でも新宿に着いてからも、何度か美馬航には連絡した。
だが、頼りにしていた美馬航の携帯には繋がらない。
今朝に限って、航は重要な会議があったので、
プライベートのスマートフォンはデスクに置いたままだった。
「卓くん、どうしよう…。おじさんに連絡できないよ。」
「何回でも架けてみよう。そのうち繋がるよ。」
そう言いながら、卓も不安になってきた。
ダメなら、家に帰ろうか…。それとも、誰かに連絡しようか…。
これまでの遠足に行くようなワクワク感は萎んでしまった。
美晴と卓は、これからどうしようか考え込んでしまった。
取り敢えずコンコースの端っこで、卓は母親に電話した。
「もしもし…」
『卓!ママはずっと駅で待ってるのにどこにいるの!何度も電話したのよ!』
「ゴメン、ママ。今ね新宿の駅にいるの。スゴイ混んでて…ここが駅のどこか
わかんなくなっちゃた。美晴ちゃんも一緒だよ。」
『どうして、そんなところに…。』
由梨が耳をすますと卓の声の向こうから、かなりの雑音が聞こえている。
「ボクら、美晴ちゃんのパパに会いに行くの。」
そこでプツンと電話が切れた。
『たかしっ!』