クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
同じ頃、やっと気がかりだった会議が終わって航は安堵していた。
良い気分のまま社長室に戻った航は、何げなくスマートフォンを見て絶句した。
「これは…。」
娘から、何回も着信があったようだ。急いで美晴に折り返しの連絡を入れる。
『すまない…美晴、すまない。君から電話くれたのに…』
祈るような気持ちで、コール音を聞いていた。
『もしもし…』か細い娘の声が聞こえた。
「美晴ちゃん!美馬のおじさんだ!電話に出られなくてゴメン。」
『あ、おじさん!良かった~。電話に出ないからどうしようかと思ってた。
美晴、迷子になって困ってたの。』
「ま、迷子?」
『おじさんに会いたかったの!でも、新宿の地下街に入ったら迷って
美晴、どこにいるのかわからなくなって…』
美晴の声はますます心細そうで、涙声だ。