クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
美晴と卓の待つ場所に、一番にたどり着いたのは航だった。
まだ混雑は続いている。人混みの中から背の低い二人を探すのは大変だった。
壁際にいる二人の子供の姿が目に入った瞬間、なりふり構っていられなかった。
「美晴ちゃん!」
思わず大きな声で駆け寄った。手を広げて、美晴を抱き上げる。
「お父さん…。」
ぎゅっと抱きしめた美晴が何か聞きなれない言葉を言ったように思ったが
それどころでは無い。こんな時間に学校にも行かず、自分を訪ねて来たのだ。
「どうしたんだい、二人とも…。お母さん達には許可もらったの?」
二人は黙って首を横に振っている。
「君が、たかしくん…だね。」
「はい、竹本卓です。」
「さっきは目印を教えてくれてありがとう。二人とも学校は休みなのかな?」
「美晴ちゃんが、確かめたい事があるからって…。」
「確かめたい事?」
抱き上げたままの美晴と、航の側に立っている卓が同時にコクリと頷いた。
「美馬のおじさん、おじさんは美晴のお父さんなの?」
「えっ?」