クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
航のマンションに着いて間もなく、梓や竹本夫妻がやってきた。
三人は逸る気持ちを抱えて、新宿までは来ていたらしい。
「美晴ちゃん!」
「たかしっ!」
それぞれの親が航の部屋に駆け込んで来た。
由梨は卓を抱きしめたり叱ったり忙しい。信也も妻の側で卓の頭を撫でている。
梓は、ただ無言で美晴を抱きしめていた。
航は二人の側に行きたい気持ちを抑えて、じっと見つめていた。
ひと騒動の後、美晴の一言で、まず健吾が動いた。
「のどか湧いちゃった。」
「そうだよな。え~と、この部屋には何も無さそうだから、
チョッと子供達連れてコンビニで飲み物でも買って来るよ。」
「伯父さん、美晴、ジュース飲みたい。」
「よし、卓くん一緒にコンビニ行こう。
色々あるだろうが、まず、大人同士で話してくれ。」
子供に聞かせたくないだろうと目配せして、
健吾は二人の子供を連れて、いったん航の部屋から出て行った。
四人だけになると、気まずい沈黙があった。
「お預かりしてたのに、ごめんなさい。」
真っ先に、梓が竹本夫妻に謝った。
「そんな…。うちの子が昨日塾に押しかけた事からだったのよ。
謝るのは私達夫婦の方だわ。」