クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
竹本は、無言だった。
「卓が、私達が毎晩ケンカしてるのを気にして…昨日家出してたのよ。」
「ええっ!」
初めて卓が家を出た理由を聞いたらしい。
竹本の顔色は真っ青になった。
「あなた、昨夜も遅くて、私の話を聞いてくれなかったじゃない。」
「知らなかった…。卓が…。」
「そんなに私と卓に関心が無いなら、離婚した方がいいのかしら。」
「由梨、いきなりそんな事をここで言うなんて!」
航たちの方を気にして、竹本は由梨を咎めるように言った。
「いいのよ、梓に気を遣わなくても。」
「だからって…。」
次第に竹本はオロオロしてきた。
子供の家出の次には妻の爆弾発言と、立て続けに振り回されている。
「私、愛されていないのに、あなたと一緒に暮らせないもん。」
強気で言ってはいるが、由梨はもはや涙声だ。
「由梨、そんなつもりはなかったんだ!ゴメン!」
「社宅でも噂になってるのに、あなたは気にもしてないのね。」
「う、噂?何の?」