クールなあなたの愛なんて信じない…愛のない結婚は遠慮します!
パート10
マンションに残された四人のうち、まず健吾が仕事に行くと言って出て行った。
部外者は消えるから、話せという事なのだろう。
残された三人のうち、美晴だけは嬉しそうに美馬の隣に座っている。
「美晴ちゃん…。あのね、」
「お母さん、美晴ね、お父さんって死んじゃったのかなあと思ってたの。」
「えっ?」
美晴の突然の発言に、横で見守っていた航の顔が引きつった。
「美晴、お母さんそんな事ひと言も言ってないよね。」
梓も焦った。航を死んだものとして話した事は無い。
「うん、お母さんがお父さんの事大好きだったって聞いてるよ。」
サラリと話す美晴の言葉に、今度は梓の顔が引きつった。
「幼稚園のお友達が、お父さんがいないのは死んじゃたのかもって
教えてくれたの。お母さんに聞いてみたらって…。」
「そんな…そんな事思ってたんだ…。」
「うん。」
「でも、お父さんの事大好きなお母さんに、美晴のお父さん、
もう死んじゃったのって聞くの可哀そうだなあって思ったの。」
「美晴…。」