君がいなくなった世界で
「君が亡くなったんじゃないか」、そんな噂を聞いたのは、よく晴れた日曜日だった。こんなご時世だから出かける予定なんてなくて、のんびり音楽を聴いている時にお父さんから言われた。

「お前の友達、亡くなったんじゃないか?」

君の名前が出た時、何かの冗談だと思った。君が死ぬなんてあり得ない。百歳くらいまで、元気で生きていそうだったから。

君とは中学と高校が同じで、でもたくさん話すようになったのは高校生の頃からだったね。背が高くて、ガタイがよくて、とっても力が強くて君に本気で手を握られた時は骨が砕けるかと思ったよ。

高校生の頃、君はいつも長袖を着ずに半袖で登校していたね。雪が散らつく真冬でも!先生や私が「寒くないの?」って聞いても、君は「全然」って平気な顔してた。インフルエンザにかかった後でも半袖だったよね。

そんな君が亡くなったなんて、変な噂が流れているなって思ったよ。でも、胸がやけに騒ついて、君にLINEを送った。それに既読がつくことも、君から返信が来ることもなかったけど……。
< 1 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop