【1/2 英語版③巻オーディオブック発売・電子先行③巻発売中】竜の番のキノコ姫 ~運命だと婚約破棄されたら、キノコの変態がやってきました~ 第2章
付録 「今日のキノコ」図鑑1 (五十音順一覧&キノコ解説)
「キノコ姫」本編のあとがきで「今日のキノコ」として紹介されたキノコ達をまとめました。
探しやすいように五十音順に並べています。
加筆していますので、本編あとがきの「今日のキノコ」では書かれなかったキノコ情報もあります。
本編を読んだ後のお楽しみとしてご利用いただければ幸いです。
是非、お気に入りのキノコを見つけてみてください。
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キノコの名前 五十音順 一覧
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名前(漢字)
キノコ情報。
「登場したお話のタイトル」
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です。
**【 キノコの名前 五十音順 一覧 】**
アイタケ(藍茸)
アカタケ(赤茸)
アカヤマドリ(赤山鳥)
アンズタケ(杏茸)
ウスキキヌガサタケ(薄黄衣笠茸)
うず高く積まれたキノコ(アニエスを守り隊)
ウスタケ(臼茸)
エセオリミキ(似非折幹)
オオキヌハダトマヤタケ(大絹肌苫屋茸)
オオワライタケ(大笑茸)
オトメノカサ(乙女の傘)
オニフスベ(鬼瘤)
カキシメジ(柿占地)
カラハツタケ(辛初茸)
カエンタケ(火炎茸)
キソウメンタケ(黄素麺茸)
キツネノロウソク(狐の蝋燭)
キヌガサタケ(衣笠茸)
キララタケ(雲母茸)
クチベニタケ(口紅茸)
クロラッパタケ(黒喇叭茸)
コガネタケ(黄金茸)
コザラミノシメジ(小粗面胞子占地)
コフキサルノコシカケ(粉吹猿腰掛)
コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
サクラタケ(桜茸)
ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
シロキクラゲ(白木耳)
ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
セイヨウショウロ(西洋松露)
第一次フィリップ総攻撃部隊(積年の恨みを果たし隊)
タマゴタケ(卵茸)
タモギタケ(楡茸)
チチタケ(乳茸)
チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
ツチグリ(土栗)
トキイロヒラタケ(朱鷺色平茸)
ドクササコ (毒笹子)
ドクツルタケ(毒鶴茸)
ドクベニタケ(毒紅茸)
ナメコ(滑子)
ノボリリュウタケ(登竜茸)
ハタケシメジ(畑占地)
ハナビラタケ(花弁茸)
ヒイロタケ(緋色茸)
ピクシーズパラソル(妖精の日傘)
ヒトクチタケ(一口茸)
ヒトヨタケ(一夜茸)
ヒナノヒガサ(雛日傘)
ブナシメジ(橅占地)
ブリーディング・トゥース(流血する歯)
ベニテングタケ(紅天狗茸)
ベニナギナタタケ(紅薙刀茸)
ベニヤマタケ(紅山茸)
ヘビキノコモドキ(蛇茸擬き)
ホンシメジ(本占地)
マイタケ(舞茸)
マツタケ(松茸)
マツホド(松塊)
マメザヤタケ(豆莢茸)
ムキタケ(剥茸)
ヤコウタケ(夜光茸)
ヤマドリタケモドキ(山鳥茸擬き)
ヤマブシタケ(山伏茸)
ルリハツタケ(瑠璃初茸)
ワカクサタケ(若草茸)
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===【 キノコ紹介 】===
アイタケ(藍茸)
青みがかった緑色の傘にひび割れが入っているキノコ。
歯切れの良さはないが味は良いらしいが、生食や大量摂取は避けた方がいいらしい。
……何が起こったのだろう。
明るい色という言葉に反応して、傘の色をアニエスに見せようと生えてきた。
自慢の色を見せようとゆらゆら揺れてみたが、いまいち気付いてもらえなかった。
アニエスに自分の色の服を着てもらうのが夢。
「キノコを交えた惚気って何ですか」
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アカタケ(赤茸)
緋色の傘で、肉を潰すと赤い汁が出る毒キノコ。
煮汁で染め物をすることもあるらしく、自身の赤い汁に誇りを持っている。
苺串間接キス事件を思い出したアニエスに、「赤い汁を出すから、ハンカチで拭いてほしい」と生えてきた。
視線を逸らされたのは寂しいが、恥ずかしがるアニエスも悪くないと新たな胞子の扉を開きかけている。
次回の苺串に備えて、赤い汁増産中。
「何ひとつ、安心できません」
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アカヤマドリ(赤山鳥)
黄褐色~橙褐色の傘は、直系30cmになることもある、大きなキノコ。
成長すると傘にひび割れができ、焼き立てのパンのようにも見える。
巨大ブールか巨大メロンパンという感じ。
毒はないが、虫がつきやすいらしい。
アニエスがフィリップの胸に飛び込みそうになったので、慌てて間に生えてきた。
人生……菌生最大の大きさの傘を広げアニエスを守るついでに、フィリップの口に生えて喋れなくした。
フィリップとキスしたのかとオトメノカサに聞かれたが、「フィリップの口に触れたのは足か、尻のような部分」と言っている。
「立派な馬鹿に成長しましたね」
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アンズタケ(杏茸)
橙がかった鮮やかな黄色の傘を持つキノコ。
ヨーロッパでは食用だが、国内では毒キノコ……どういうことだろう。
肉の部分は強い杏の様な香りがする。
クロード愛用の香水の材料で、まさかの香水加工に本人(本茸)が一番衝撃を受けている。
別にアンズと直接の関係はないが、アニエスのケーキにアンズが入っていて何だか嬉しい。
いつかアニエスのケーキを食べてみたいし、何なら入ってみたいが、よく考えると自分は毒キノコだった。
飾りとしてならケーキに乗せてもらえるかもしれないと、日夜傘を磨いている。
「可愛いな」
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ウスキキヌガサタケ(薄黄衣笠茸)
白い棒の上に鐘型の傘をかぶり、黄色いレースのマントを垂らす優雅なキノコ。
華麗な姿はキノコの女王に例えられる。
高級料理に使われる美味しいキノコだが、頭のネバネバは臭い。
一時間でドレスを身に纏い、三時間で一生を終える、美人薄命ならぬ美茸薄命なキノコ。
キノコの女王と呼ばれたので、喜び勇んで生えてきた。
「アニエスの魅力を伝えるならドレス! 見て、この華麗なドレス!」とクロードに自慢のドレスを見せつけている。
だが、ドレス共々速攻でしぼむ。
「女王が二本降臨しました」「我慢って、何ですか」
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うず高く積まれたキノコ(アニエスを守り隊)
アニエスが意識を失っている間、フィリップの魔の手からアニエスを守るべく生え、むしられた戦士達。
ぬめったり、とげとげしたり、カラフルにしたりして、フィリップを威嚇し続けていた。
「アニエスに触りたければ、我々を食べきってみろ!」と高らかに笑っているが、キノコなので伝わっていない。
何に調理されるか議論していたら、アニエスどころかフィリップまでいなくなってしまった。
仕方がないので、今度生えるならどこがいいかを議論し始めた。
今のところ見晴らしがいいという理由で、クロードの肩が一番人気。
「隣にいるべきは」「キノコを信じよう」
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ウスタケ(臼茸)
赤いラッパ型の傘を持つ毒キノコ。
消化器系の中毒を起こすが、特徴的な味はない……また、誰か食べたらしい。
ラッパ型でもキノコなので音は出ないことに気付いたが、諦めなければいつか音が出るのではないかと、特訓中のキノコ。
クロラッパタケと共にファンファーレを鳴らすために生えてきたが、こちらもキノコなので音は出なかった。
仕方がないので、ゆらゆら揺れてクロラッパタケとの摩擦音でモキュモキュと盛り上げている。
摩擦音という新たな境地にたどり着き、ラッパ型キノコの可能性を感じた。
「摩擦でも音だよね」と楽しそうにクロラッパタケと揺れている。
「キノコの心配」「隣にいるべきは」
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エセオリミキ(似非折幹)
赤みを帯びた褐色の傘の、食用キノコ。
オリミキというのはナラタケのことであり、『木材腐朽菌倶楽部』代表のナラタケとは仲良し。
だが、自身は『落葉分解菌倶楽部』に所属している。
「アニエスがいるのに他の女性に手を出すなら、倶楽部の仲間が黙っていないぞ」と警告しに生えてきた。
ちなみに、『木材腐朽菌倶楽部』と『落葉分解菌倶楽部』も仲良しだが、どこを腐らせるかという話題は話が長くなるので危険。
「おねだりとご褒美」
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オオキヌハダトマヤタケ(大絹肌苫屋茸)
黄褐色で繊維状の傘を持つキノコ。
誤食すると大量発汗、体温低下、呼吸困難を起こすので、危険。
アニエスが呼吸が止まると言うので、自分が食べられたのかと確認のために慌てて生えてきた。
キノコ中毒ではないことに一安心だが、思った以上のいちゃつきぶりに自分の呼吸が止まりそう。
ケヴィンの乱入で一命をとりとめて一安心と言いたいが、あのままいちゃつきを見守ってもいい気がする、複雑なキノコ心。
この気持ちは何なのかヘビキノコモドキに相談したところ、「それが若さよ」と撫でられた。
「可愛いな」「シャルルとキラキラのケーキ」
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オオワライタケ(大笑茸)
黄褐色のブナシメジという見た目。
名前から察することができるが、毒キノコ。
神経系の毒があり、異常な興奮、幻覚、意識障害などが起こるらしく、全然笑えない。
キノコ界のにぎやかし要員であり、特技の群生を活かしていろんな場所に生えまくる。
アニエスの不安を感じ取り、笑ってほしくて群生した。
仲間が増えすぎると、合体してキング・オオワライタケになるという噂もあるが、今回はノーマルオオワライタケのままだった。
プロポーズ現場に「プロポーズ! プロポーズ!」と連呼しながら群生した。
アニエスとクロードに挟まれたが、群生は止まらない。
アニエスの結婚式で群生という夢に一歩近付き、気合を入れて菌糸をためている。
「キノコの心配」「俺のキノコのお姫様」
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オトメノカサ(乙女の傘)
乳白色の傘を持つ、小さくて可愛らしいキノコ。
酢の物、和え物などにされるが、くせがなくて食べやすい。
乙女な気配を感じると逃すことなく生えてくる、恋バナ大好きな野次馬キノコ。
クロードの直球な告白に大興奮で揺れている。
アニエスの方が好きだという点で、クロードと意見が一致した。
「好きぃー!」「キノコ尽くしの新婚生活!」「手にチューしたあ!」「かーんせーつ、チュー!」などと乙女なイベントには絶叫して生えてくるが、キノコなので声は届いていない。
ポケットの中で出会ったルリハツタケに、間接キスの尊さについて熱く語って若干引かれている。
最近では乙女イベントにオトメノカサと共に生える「乙女ツアー」がキノコの中で密かな人気。
「女王が二本降臨しました」「俺は、好きだよ」「心の鍛錬は、ハイテンションお姉さんです」「耐えて、慣れて」「ピンクの化身と苺の汁」「俺のキノコのお姫様」
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オニフスベ(鬼瘤)
またの名を、ジャイアントパフボール……この名で大体理解できるが、白くて大きくてフカフカなボール型キノコ。
一夜で発生したり、五十センチを超えたりする、夢の白い球体。
成熟すると褐色になり、外皮が剥がれて胞子とアンモニア臭が出てくる。
白いうちは食べられるが、美味ではなく不味くもない……何故そこまでして食べるのか。
窓から飛び降りたアニエスを受け止めるべく、人生……菌生最大の菌糸を駆使して巨大化した。
アニエスが無事で、撫でてもらったので満足して縮小した。
フィリップの落下に遭遇時には、アニエスが嫌がったので仕方なく膨らんで受け止めた。
だが不本意な心が菌糸にも影響し、褐色に変化して硬くなったので、最低限のクッション機能しか発揮していない。
不本意すぎて胞子とアンモニア臭を全力でお見舞いしてやった、救助系報復キノコ。
クッションとしてソファーとアニエスに挟まれるのが密かな夢。
「警戒心が足りませんよ」「少し、黙っていて」「竜紋の力」
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カエンタケ(火炎茸)
燃え上がる炎や鹿の角の様な形の、赤いキノコ。
致死量は数グラムで、触れるだけでも毒素が吸収されるという、猛毒キノコ。
ササクレシロオニタケの緊急通報と、アニエスの恐怖に反応して生えてきた、毒キノコ界の重鎮。
触れるだけでも皮膚に炎症を起こすので、生えた部分の毛根はほぼ、もげることだろう。
「頭頂部だけで許してやったものを、愚か者が」とご立腹で、再び毛根の焼き討ちを決行した。
その後、むしられたが「馬鹿め。しっかりむしらないから残っているわ」とフィリップの頭皮にいまだに滞在中。
今度はどうハゲ散らかしてやろうか検討中。
本気を出せばフィリップなどイチコロだが、アニエスのためにハゲ散らかすだけにとどめている。
「警戒心が足りませんよ」「キノコを信じよう」
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カキシメジ(柿占地)
湿気が多いとぬめる黄褐色の傘を持つ毒キノコ。
肉に強い腐臭があり、多少苦い……何故食べたと言いたいが、誤食が非常に多い。
『誤食御三家』の一角で、美味しそうな見た目に加えて群生してキノコの勇者達を惑わせている。
アニエスの身を守ろうと剣の刃や鞘を覆った。
剣を鞘に納めたせいで芝生の上に転がったが、アニエスのために一生懸命ぬめり続けている。
ぬめりつづけたおかげでアルマンに剣を抜かせないことに成功し、芝生に転がってぬめっている仲間と合流を果たした。
キノコの棒状態の剣が楽しかったらしく、アニエスに剣を用意してほしいと思っている。
「よくあることでしょう?」「少し、黙っていて」
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カラハツタケ(辛初茸)
オレンジ色を帯びた黄褐色の傘を持ち、饅頭型・平・漏斗型に変身するキノコ。
消化器系の中毒症状を起こす毒キノコ。
強い辛味があるので、辛みを感じた場合は飲み込まないこと……その前に、よくわからないのに口に入れるのをやめればいいと思う。
ケヴィンの怒りに賛同して生えてきた。
「毒が効く前に吐かれても、辛みで攻撃できる」と自分のセールスポイントをアピールしている。
いつかドクササコと共に、フィリップの口に特攻を仕掛けたいと目論んでいる。
「キノコの総攻撃を報告します」
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キソウメンタケ(黄素麺茸)
地面からフライドポテトがニョキニョキという感じの、黄色い棒状のキノコ。
素麺の名を冠するだけあって食べられるが、食べ応えがないらしく食用としての価値は低い。
そして、食べるのには勇気が必要らしい。
自分は勇気の証なのだと、ちょっと誇らし気にニョキニョキしている。
扉を叩く勇気が出ないというアニエスに、勇気をわけてあげようと生えてきた。
だがタイミングを間違えたせいで、いちゃつく二人を特等席(肩)で観賞する羽目になった。
いちゃつく二人を見るのは何だか恥ずかしいけれど、少し嬉しい。
「わがままレディを目指すのなら」
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キツネノロウソク(狐の蝋燭)
棒状のキノコで先端に向かうほど紅色になり、先端には悪臭を放つ粘液がついている。
毒はなさそうだが、臭いので食べられることはない。
「アニエスに手を出すなら、悪臭で勝負だ!」と背中に大勢生えてきたが、ブリーディング・トゥースとのコラボレーションで視覚的にも攻撃できることに気付いた。
せっかくなら頭にトゲトゲに生えたいというのが次の目標。
「警戒心が足りませんよ」
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キヌガサタケ(衣笠茸)
白い棒の上に鐘型の傘をかぶり、白いレースのマントを垂らす優雅なキノコ。
華麗な姿はキノコの女王に例えられる。
高級料理に使われる美味しいキノコだが、頭のネバネバは臭い。
レースのマントをおろす速度は菌界・植物界で一番の成長の速さ。
ウスキキヌガサタケと共に生き急ぎ系キノコとして名を馳せる。
当然、せっかち。
服を仕立てると約束したのが待ちきれず、催促するためにウスキキヌガサタメと共に生えてきた。
だがドレスが即日完成しないことを知り、衝撃を受けている。
「女王が二本降臨しました」「我慢って、何ですか」
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キララタケ(雲母茸)
雲母のようにキラキラ光る細かい小鱗片を持った、淡い黄褐色の傘のキノコ。
お酒を飲む人が食べると酷い食中毒を起こす。
以前に何度生えてもむしられ、クロードとちょっとした意地の張り合い……いや、キノコの生えむしり合いをした。
クロードが来ると聞いて「今度こそ負けない」と生えてきたが、一応毒キノコなので端に避けられた。
厨房で待機中にキラキラの鱗片をケーキに蒔いた疑惑をかけられたが、本人(本茸)は隣の籠のマツタケと生えたい場所について熱く語り合っている。
「肩もいいけれど、通は背中」というキララタケと「やっぱり頭」というマツタケで意見がまとまらない。
「おねだりとご褒美」「シャルルとキラキラのケーキ」
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クチベニタケ(口紅茸)
傘部分が黄土色の球体で、その頂に赤橙色の星型の孔を持つキノコ。
たこ焼きのてっぺんに穴が開いていて、穴の端が紅ショウガで染まっている感じ。
名前通り、まるで口紅をつけた唇の様な見た目。
「チューしてるから!」という理由で連れ出されたが、手の甲にキスだったので少し拍子抜け。
いつか本当にキスした暁には、クチベニタケ二人……二茸で再現したいと思っている。
念願叶い、ダブル・クチベニタケによる模擬チューが成功した。
その現場をオトメノカサに見つかり、今度余興として皆の前で披露することになった。
「耐えて、慣れて」「俺のキノコのお姫様」
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クロラッパタケ(黒喇叭茸)
黒い漏斗型をしていて、ラッパの様な見た目のキノコ。
別名「死のトランペット」だが、ヨーロッパでは日常的に食べられていて、スープに入れると美味。
……ネーミングがおかしいと思う。
一曲演奏してアニエスを慰めようと思ったが、キノコなのでやはり音が出なかった。
だが思わぬウスタケとのコラボレーションで、アニエスの笑顔を引き出せて満足。
ウスタケとキノコの摩擦音コンサートを開くべく、摩擦に余念がない。
「キノコの心配」「隣にいるべきは」
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コガネタケ(黄金茸)
黄金色の粉で覆われた傘を持つキノコで、別名はキナコタケ……相当粉っぽいという評価だ。
一応食用キノコだが生で食べると中毒を起こすので、茹でよう。
というか、そこまでして何故食べるのか、キノコの勇者達。
賛辞という言葉にめでたい響きを感じ、「めでたいと言えば黄金色だよね」と傘を張って生えてきたが、何やら空気を読み間違えたらしい。
少し切なくなり、粉がパラパラ落ちている。
プロポーズ成功を見て、「めでたいと言えば黄金色だよね」と傘を張って生えてきたが、クロードに挟まれて粉がパラパラ落ちている。
「粉が落ちきったら、どうなるのだろう」と悩んだが、キソウメンタケ先輩に「キノコはキノコ」と慰められ元気が出た。
「キノコの総攻撃を報告します」「俺のキノコのお姫様」
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コザラミノシメジ(小粗面胞子占地)
褐色の傘と柄を持つ食用キノコで、肉は小麦粉に似たにおいがする。
「ザラミ」という名前は、胞子にある小さなイボがザラザラしていることに由来する。
「たいしたことあるよ。アニエスの心がザラザラしているよ」とクロードに訴えるために生えてきた。
アニエスの心のザラザラに反応するが、クロードには伝わっているような気がして親近感が湧いている。
「キノコはどういう扱いですか」「キノコの騎士と釘」
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コフキサルノコシカケ(粉吹猿腰掛)
傘は灰色や白っぽい茶褐色などで、年輪のような環溝がある。
年々成長するので、大きいものは五十センチほどになることも。
名前の通り座っても崩れない耐久性を持ち、頑丈で壊れにくいキノコ……もはやキノコというよりも、家具の説明。
成長期の傘の裏にメッセージを入れると二度と消えないし、磨くと光沢が出て置物にもなる……やっぱり、家具かもしれない。
『木材腐朽菌倶楽部』の一員。
食用ではない……座れる頑丈なキノコを食べようとしないでほしい。
座る位置の話をしていたのを聞き、「よかったら座る?」と生えてきた。
アニエスの部屋の椅子として採用してほしいが、どこで面接を受ければいいのかわからない。
「キノコと自己肯定感」
============
コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
濃い青色の傘を持つキノコ。
毒はないらしいが、色が色なので食べてはもらえない。
以前、キノコの話し合いでクロードの髪色に一番近いキノコに認定された、青色キノコ代表。
クロードの色としてアニエスを飾る紺色のドレスに混ざりたくて生えてきた。
紺色具合に自信があったが、キノコなのでむしられた。
信頼されていないという言葉にショックを受けるアニエスを見て「そんなことないよ。この色を見て」と自身の青色でクロードを信じるよう訴えている。
クロードのことを信頼しているが、理由は「青いから」らしい。
「王弟・グラニエ公爵」「よくあることでしょう?」「少し、黙っていて」
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サクラタケ(桜茸)
淡紅色の傘を持ち、湿気を帯びると長い条線が見えるようになる。
見た目はピンクの可愛い姿だが、指でつぶすと大根の匂いがするギャップ系キノコ。
味はないが、胃腸系・神経系の毒を持つ……大根の匂いだからいけると思ったのだろうか。
アニエスが綺麗と褒められたので、嬉しくなって生えてきた。
自身の傘がアニエスの髪と同じピンク色であることを自慢に思っている。
「アニエスの髪の色、桜色で良くない?」と桃花色という名前に対抗心を燃やしている。
「五人の王子」
============
ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
大きなイボが特徴的な白いキノコで、柄の部分にささくれがある。
全身美白した、ベニテングタケという感じ。
一応毒とされているが可食ともされている……って、怖くて食べられない。
アニエスの身辺や心理状況に心を配る、監視キノコ。
フィリップの行動と言動を有罪と見做し、全キノコに緊急通達を出した。
その後、キノコ達の攻撃を見守っている。
つまるところ、ちょっとしたストーカー兼スピーカー。
「隣にいるべきは」「立派な馬鹿に成長しましたね」「警戒心が足りませんよ」
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サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
真っ白な珊瑚の様な見た目の食用キノコ。
取るのが難しく、ゴミがつきやすいらしい……トゲトゲに絡まるのだろうか。
かつて「クロードの白いシャツに生えるのは誰だ」選手権を見事に勝ち上がった、勝者キノコ。
今日もクロードに張り付いていたが、最終的にはアニエスとクロードの間に挟まれ、何だか幸せ。
アニエスがトゲトゲで痛い思いをしなかったか心配している。
「キノコの心配」
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シロキクラゲ(白木耳)
白く薄い膜が重なり合ったような形の食用キノコ。
ゼラチン質でできており、乾燥すると淡黄白色で硬くなって縮むが、水に浸すと元に戻る。
無味無臭だが食感が良く、若干高価。
クロードの胸を飾る白い花に対抗すべく、隣に生えた。
「アニエスとクロードとお揃いの、白いフリフリの座は渡さない」とゼラチン質をプリプリさせて主張している。
今後、ドレスアップの際には自分が使われるかもしれないと思い、ゼラチン質のプリプリを鍛えている。
「小さな紳士と魅了の花」
============
ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
ビロードのような質感の暗褐色の傘を持つ食用キノコ。
傘の直径が15cmを超えるものもあるが、炒めてよし焼いてよしなので、寧ろありがたい。
晩御飯のおかずに名乗りを上げた、勇敢なキノコ。
厨房で「今日こそ焼かれる気分」と訴えたが、やっぱり煮られた。
「ケヴィンが全然焼いてくれない」とオトメノカサに相談したところ、「それは恋」と言われた。
菌種を超えたロマンスがはじま……らない。
「心の鍛錬は、ハイテンションお姉さんです」
============
セイヨウショウロ(西洋松露)
大理石状の模様を持ち、小さな突起が無数に見られる塊状のキノコ。
いわゆるトリュフで、三大珍味にも数えられる高級食用キノコ。
白と黒で値段が違いすぎるのが、目下の悩み。
地中に埋まっていると聞き、呼ばれたと思って喜び勇んで生えてきた。
今回もクロードに渡されてしまったが、たまにはアニエスの食卓を飾りたいと思っている。
「アニエスの手でスライスされたら、嬉しさで香り三倍」という主張に、キノコ達が同意している。
「キノコと自己肯定感」
============
※15000文字を超えてしまったため、分割します。
探しやすいように五十音順に並べています。
加筆していますので、本編あとがきの「今日のキノコ」では書かれなかったキノコ情報もあります。
本編を読んだ後のお楽しみとしてご利用いただければ幸いです。
是非、お気に入りのキノコを見つけてみてください。
============
キノコの名前 五十音順 一覧
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名前(漢字)
キノコ情報。
「登場したお話のタイトル」
============
です。
**【 キノコの名前 五十音順 一覧 】**
アイタケ(藍茸)
アカタケ(赤茸)
アカヤマドリ(赤山鳥)
アンズタケ(杏茸)
ウスキキヌガサタケ(薄黄衣笠茸)
うず高く積まれたキノコ(アニエスを守り隊)
ウスタケ(臼茸)
エセオリミキ(似非折幹)
オオキヌハダトマヤタケ(大絹肌苫屋茸)
オオワライタケ(大笑茸)
オトメノカサ(乙女の傘)
オニフスベ(鬼瘤)
カキシメジ(柿占地)
カラハツタケ(辛初茸)
カエンタケ(火炎茸)
キソウメンタケ(黄素麺茸)
キツネノロウソク(狐の蝋燭)
キヌガサタケ(衣笠茸)
キララタケ(雲母茸)
クチベニタケ(口紅茸)
クロラッパタケ(黒喇叭茸)
コガネタケ(黄金茸)
コザラミノシメジ(小粗面胞子占地)
コフキサルノコシカケ(粉吹猿腰掛)
コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
サクラタケ(桜茸)
ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
シロキクラゲ(白木耳)
ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
セイヨウショウロ(西洋松露)
第一次フィリップ総攻撃部隊(積年の恨みを果たし隊)
タマゴタケ(卵茸)
タモギタケ(楡茸)
チチタケ(乳茸)
チョレイマイタケ(猪苓舞茸)
ツチグリ(土栗)
トキイロヒラタケ(朱鷺色平茸)
ドクササコ (毒笹子)
ドクツルタケ(毒鶴茸)
ドクベニタケ(毒紅茸)
ナメコ(滑子)
ノボリリュウタケ(登竜茸)
ハタケシメジ(畑占地)
ハナビラタケ(花弁茸)
ヒイロタケ(緋色茸)
ピクシーズパラソル(妖精の日傘)
ヒトクチタケ(一口茸)
ヒトヨタケ(一夜茸)
ヒナノヒガサ(雛日傘)
ブナシメジ(橅占地)
ブリーディング・トゥース(流血する歯)
ベニテングタケ(紅天狗茸)
ベニナギナタタケ(紅薙刀茸)
ベニヤマタケ(紅山茸)
ヘビキノコモドキ(蛇茸擬き)
ホンシメジ(本占地)
マイタケ(舞茸)
マツタケ(松茸)
マツホド(松塊)
マメザヤタケ(豆莢茸)
ムキタケ(剥茸)
ヤコウタケ(夜光茸)
ヤマドリタケモドキ(山鳥茸擬き)
ヤマブシタケ(山伏茸)
ルリハツタケ(瑠璃初茸)
ワカクサタケ(若草茸)
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===【 キノコ紹介 】===
アイタケ(藍茸)
青みがかった緑色の傘にひび割れが入っているキノコ。
歯切れの良さはないが味は良いらしいが、生食や大量摂取は避けた方がいいらしい。
……何が起こったのだろう。
明るい色という言葉に反応して、傘の色をアニエスに見せようと生えてきた。
自慢の色を見せようとゆらゆら揺れてみたが、いまいち気付いてもらえなかった。
アニエスに自分の色の服を着てもらうのが夢。
「キノコを交えた惚気って何ですか」
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アカタケ(赤茸)
緋色の傘で、肉を潰すと赤い汁が出る毒キノコ。
煮汁で染め物をすることもあるらしく、自身の赤い汁に誇りを持っている。
苺串間接キス事件を思い出したアニエスに、「赤い汁を出すから、ハンカチで拭いてほしい」と生えてきた。
視線を逸らされたのは寂しいが、恥ずかしがるアニエスも悪くないと新たな胞子の扉を開きかけている。
次回の苺串に備えて、赤い汁増産中。
「何ひとつ、安心できません」
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アカヤマドリ(赤山鳥)
黄褐色~橙褐色の傘は、直系30cmになることもある、大きなキノコ。
成長すると傘にひび割れができ、焼き立てのパンのようにも見える。
巨大ブールか巨大メロンパンという感じ。
毒はないが、虫がつきやすいらしい。
アニエスがフィリップの胸に飛び込みそうになったので、慌てて間に生えてきた。
人生……菌生最大の大きさの傘を広げアニエスを守るついでに、フィリップの口に生えて喋れなくした。
フィリップとキスしたのかとオトメノカサに聞かれたが、「フィリップの口に触れたのは足か、尻のような部分」と言っている。
「立派な馬鹿に成長しましたね」
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アンズタケ(杏茸)
橙がかった鮮やかな黄色の傘を持つキノコ。
ヨーロッパでは食用だが、国内では毒キノコ……どういうことだろう。
肉の部分は強い杏の様な香りがする。
クロード愛用の香水の材料で、まさかの香水加工に本人(本茸)が一番衝撃を受けている。
別にアンズと直接の関係はないが、アニエスのケーキにアンズが入っていて何だか嬉しい。
いつかアニエスのケーキを食べてみたいし、何なら入ってみたいが、よく考えると自分は毒キノコだった。
飾りとしてならケーキに乗せてもらえるかもしれないと、日夜傘を磨いている。
「可愛いな」
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ウスキキヌガサタケ(薄黄衣笠茸)
白い棒の上に鐘型の傘をかぶり、黄色いレースのマントを垂らす優雅なキノコ。
華麗な姿はキノコの女王に例えられる。
高級料理に使われる美味しいキノコだが、頭のネバネバは臭い。
一時間でドレスを身に纏い、三時間で一生を終える、美人薄命ならぬ美茸薄命なキノコ。
キノコの女王と呼ばれたので、喜び勇んで生えてきた。
「アニエスの魅力を伝えるならドレス! 見て、この華麗なドレス!」とクロードに自慢のドレスを見せつけている。
だが、ドレス共々速攻でしぼむ。
「女王が二本降臨しました」「我慢って、何ですか」
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うず高く積まれたキノコ(アニエスを守り隊)
アニエスが意識を失っている間、フィリップの魔の手からアニエスを守るべく生え、むしられた戦士達。
ぬめったり、とげとげしたり、カラフルにしたりして、フィリップを威嚇し続けていた。
「アニエスに触りたければ、我々を食べきってみろ!」と高らかに笑っているが、キノコなので伝わっていない。
何に調理されるか議論していたら、アニエスどころかフィリップまでいなくなってしまった。
仕方がないので、今度生えるならどこがいいかを議論し始めた。
今のところ見晴らしがいいという理由で、クロードの肩が一番人気。
「隣にいるべきは」「キノコを信じよう」
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ウスタケ(臼茸)
赤いラッパ型の傘を持つ毒キノコ。
消化器系の中毒を起こすが、特徴的な味はない……また、誰か食べたらしい。
ラッパ型でもキノコなので音は出ないことに気付いたが、諦めなければいつか音が出るのではないかと、特訓中のキノコ。
クロラッパタケと共にファンファーレを鳴らすために生えてきたが、こちらもキノコなので音は出なかった。
仕方がないので、ゆらゆら揺れてクロラッパタケとの摩擦音でモキュモキュと盛り上げている。
摩擦音という新たな境地にたどり着き、ラッパ型キノコの可能性を感じた。
「摩擦でも音だよね」と楽しそうにクロラッパタケと揺れている。
「キノコの心配」「隣にいるべきは」
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エセオリミキ(似非折幹)
赤みを帯びた褐色の傘の、食用キノコ。
オリミキというのはナラタケのことであり、『木材腐朽菌倶楽部』代表のナラタケとは仲良し。
だが、自身は『落葉分解菌倶楽部』に所属している。
「アニエスがいるのに他の女性に手を出すなら、倶楽部の仲間が黙っていないぞ」と警告しに生えてきた。
ちなみに、『木材腐朽菌倶楽部』と『落葉分解菌倶楽部』も仲良しだが、どこを腐らせるかという話題は話が長くなるので危険。
「おねだりとご褒美」
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オオキヌハダトマヤタケ(大絹肌苫屋茸)
黄褐色で繊維状の傘を持つキノコ。
誤食すると大量発汗、体温低下、呼吸困難を起こすので、危険。
アニエスが呼吸が止まると言うので、自分が食べられたのかと確認のために慌てて生えてきた。
キノコ中毒ではないことに一安心だが、思った以上のいちゃつきぶりに自分の呼吸が止まりそう。
ケヴィンの乱入で一命をとりとめて一安心と言いたいが、あのままいちゃつきを見守ってもいい気がする、複雑なキノコ心。
この気持ちは何なのかヘビキノコモドキに相談したところ、「それが若さよ」と撫でられた。
「可愛いな」「シャルルとキラキラのケーキ」
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オオワライタケ(大笑茸)
黄褐色のブナシメジという見た目。
名前から察することができるが、毒キノコ。
神経系の毒があり、異常な興奮、幻覚、意識障害などが起こるらしく、全然笑えない。
キノコ界のにぎやかし要員であり、特技の群生を活かしていろんな場所に生えまくる。
アニエスの不安を感じ取り、笑ってほしくて群生した。
仲間が増えすぎると、合体してキング・オオワライタケになるという噂もあるが、今回はノーマルオオワライタケのままだった。
プロポーズ現場に「プロポーズ! プロポーズ!」と連呼しながら群生した。
アニエスとクロードに挟まれたが、群生は止まらない。
アニエスの結婚式で群生という夢に一歩近付き、気合を入れて菌糸をためている。
「キノコの心配」「俺のキノコのお姫様」
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オトメノカサ(乙女の傘)
乳白色の傘を持つ、小さくて可愛らしいキノコ。
酢の物、和え物などにされるが、くせがなくて食べやすい。
乙女な気配を感じると逃すことなく生えてくる、恋バナ大好きな野次馬キノコ。
クロードの直球な告白に大興奮で揺れている。
アニエスの方が好きだという点で、クロードと意見が一致した。
「好きぃー!」「キノコ尽くしの新婚生活!」「手にチューしたあ!」「かーんせーつ、チュー!」などと乙女なイベントには絶叫して生えてくるが、キノコなので声は届いていない。
ポケットの中で出会ったルリハツタケに、間接キスの尊さについて熱く語って若干引かれている。
最近では乙女イベントにオトメノカサと共に生える「乙女ツアー」がキノコの中で密かな人気。
「女王が二本降臨しました」「俺は、好きだよ」「心の鍛錬は、ハイテンションお姉さんです」「耐えて、慣れて」「ピンクの化身と苺の汁」「俺のキノコのお姫様」
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オニフスベ(鬼瘤)
またの名を、ジャイアントパフボール……この名で大体理解できるが、白くて大きくてフカフカなボール型キノコ。
一夜で発生したり、五十センチを超えたりする、夢の白い球体。
成熟すると褐色になり、外皮が剥がれて胞子とアンモニア臭が出てくる。
白いうちは食べられるが、美味ではなく不味くもない……何故そこまでして食べるのか。
窓から飛び降りたアニエスを受け止めるべく、人生……菌生最大の菌糸を駆使して巨大化した。
アニエスが無事で、撫でてもらったので満足して縮小した。
フィリップの落下に遭遇時には、アニエスが嫌がったので仕方なく膨らんで受け止めた。
だが不本意な心が菌糸にも影響し、褐色に変化して硬くなったので、最低限のクッション機能しか発揮していない。
不本意すぎて胞子とアンモニア臭を全力でお見舞いしてやった、救助系報復キノコ。
クッションとしてソファーとアニエスに挟まれるのが密かな夢。
「警戒心が足りませんよ」「少し、黙っていて」「竜紋の力」
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カエンタケ(火炎茸)
燃え上がる炎や鹿の角の様な形の、赤いキノコ。
致死量は数グラムで、触れるだけでも毒素が吸収されるという、猛毒キノコ。
ササクレシロオニタケの緊急通報と、アニエスの恐怖に反応して生えてきた、毒キノコ界の重鎮。
触れるだけでも皮膚に炎症を起こすので、生えた部分の毛根はほぼ、もげることだろう。
「頭頂部だけで許してやったものを、愚か者が」とご立腹で、再び毛根の焼き討ちを決行した。
その後、むしられたが「馬鹿め。しっかりむしらないから残っているわ」とフィリップの頭皮にいまだに滞在中。
今度はどうハゲ散らかしてやろうか検討中。
本気を出せばフィリップなどイチコロだが、アニエスのためにハゲ散らかすだけにとどめている。
「警戒心が足りませんよ」「キノコを信じよう」
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カキシメジ(柿占地)
湿気が多いとぬめる黄褐色の傘を持つ毒キノコ。
肉に強い腐臭があり、多少苦い……何故食べたと言いたいが、誤食が非常に多い。
『誤食御三家』の一角で、美味しそうな見た目に加えて群生してキノコの勇者達を惑わせている。
アニエスの身を守ろうと剣の刃や鞘を覆った。
剣を鞘に納めたせいで芝生の上に転がったが、アニエスのために一生懸命ぬめり続けている。
ぬめりつづけたおかげでアルマンに剣を抜かせないことに成功し、芝生に転がってぬめっている仲間と合流を果たした。
キノコの棒状態の剣が楽しかったらしく、アニエスに剣を用意してほしいと思っている。
「よくあることでしょう?」「少し、黙っていて」
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カラハツタケ(辛初茸)
オレンジ色を帯びた黄褐色の傘を持ち、饅頭型・平・漏斗型に変身するキノコ。
消化器系の中毒症状を起こす毒キノコ。
強い辛味があるので、辛みを感じた場合は飲み込まないこと……その前に、よくわからないのに口に入れるのをやめればいいと思う。
ケヴィンの怒りに賛同して生えてきた。
「毒が効く前に吐かれても、辛みで攻撃できる」と自分のセールスポイントをアピールしている。
いつかドクササコと共に、フィリップの口に特攻を仕掛けたいと目論んでいる。
「キノコの総攻撃を報告します」
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キソウメンタケ(黄素麺茸)
地面からフライドポテトがニョキニョキという感じの、黄色い棒状のキノコ。
素麺の名を冠するだけあって食べられるが、食べ応えがないらしく食用としての価値は低い。
そして、食べるのには勇気が必要らしい。
自分は勇気の証なのだと、ちょっと誇らし気にニョキニョキしている。
扉を叩く勇気が出ないというアニエスに、勇気をわけてあげようと生えてきた。
だがタイミングを間違えたせいで、いちゃつく二人を特等席(肩)で観賞する羽目になった。
いちゃつく二人を見るのは何だか恥ずかしいけれど、少し嬉しい。
「わがままレディを目指すのなら」
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キツネノロウソク(狐の蝋燭)
棒状のキノコで先端に向かうほど紅色になり、先端には悪臭を放つ粘液がついている。
毒はなさそうだが、臭いので食べられることはない。
「アニエスに手を出すなら、悪臭で勝負だ!」と背中に大勢生えてきたが、ブリーディング・トゥースとのコラボレーションで視覚的にも攻撃できることに気付いた。
せっかくなら頭にトゲトゲに生えたいというのが次の目標。
「警戒心が足りませんよ」
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キヌガサタケ(衣笠茸)
白い棒の上に鐘型の傘をかぶり、白いレースのマントを垂らす優雅なキノコ。
華麗な姿はキノコの女王に例えられる。
高級料理に使われる美味しいキノコだが、頭のネバネバは臭い。
レースのマントをおろす速度は菌界・植物界で一番の成長の速さ。
ウスキキヌガサタケと共に生き急ぎ系キノコとして名を馳せる。
当然、せっかち。
服を仕立てると約束したのが待ちきれず、催促するためにウスキキヌガサタメと共に生えてきた。
だがドレスが即日完成しないことを知り、衝撃を受けている。
「女王が二本降臨しました」「我慢って、何ですか」
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キララタケ(雲母茸)
雲母のようにキラキラ光る細かい小鱗片を持った、淡い黄褐色の傘のキノコ。
お酒を飲む人が食べると酷い食中毒を起こす。
以前に何度生えてもむしられ、クロードとちょっとした意地の張り合い……いや、キノコの生えむしり合いをした。
クロードが来ると聞いて「今度こそ負けない」と生えてきたが、一応毒キノコなので端に避けられた。
厨房で待機中にキラキラの鱗片をケーキに蒔いた疑惑をかけられたが、本人(本茸)は隣の籠のマツタケと生えたい場所について熱く語り合っている。
「肩もいいけれど、通は背中」というキララタケと「やっぱり頭」というマツタケで意見がまとまらない。
「おねだりとご褒美」「シャルルとキラキラのケーキ」
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クチベニタケ(口紅茸)
傘部分が黄土色の球体で、その頂に赤橙色の星型の孔を持つキノコ。
たこ焼きのてっぺんに穴が開いていて、穴の端が紅ショウガで染まっている感じ。
名前通り、まるで口紅をつけた唇の様な見た目。
「チューしてるから!」という理由で連れ出されたが、手の甲にキスだったので少し拍子抜け。
いつか本当にキスした暁には、クチベニタケ二人……二茸で再現したいと思っている。
念願叶い、ダブル・クチベニタケによる模擬チューが成功した。
その現場をオトメノカサに見つかり、今度余興として皆の前で披露することになった。
「耐えて、慣れて」「俺のキノコのお姫様」
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クロラッパタケ(黒喇叭茸)
黒い漏斗型をしていて、ラッパの様な見た目のキノコ。
別名「死のトランペット」だが、ヨーロッパでは日常的に食べられていて、スープに入れると美味。
……ネーミングがおかしいと思う。
一曲演奏してアニエスを慰めようと思ったが、キノコなのでやはり音が出なかった。
だが思わぬウスタケとのコラボレーションで、アニエスの笑顔を引き出せて満足。
ウスタケとキノコの摩擦音コンサートを開くべく、摩擦に余念がない。
「キノコの心配」「隣にいるべきは」
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コガネタケ(黄金茸)
黄金色の粉で覆われた傘を持つキノコで、別名はキナコタケ……相当粉っぽいという評価だ。
一応食用キノコだが生で食べると中毒を起こすので、茹でよう。
というか、そこまでして何故食べるのか、キノコの勇者達。
賛辞という言葉にめでたい響きを感じ、「めでたいと言えば黄金色だよね」と傘を張って生えてきたが、何やら空気を読み間違えたらしい。
少し切なくなり、粉がパラパラ落ちている。
プロポーズ成功を見て、「めでたいと言えば黄金色だよね」と傘を張って生えてきたが、クロードに挟まれて粉がパラパラ落ちている。
「粉が落ちきったら、どうなるのだろう」と悩んだが、キソウメンタケ先輩に「キノコはキノコ」と慰められ元気が出た。
「キノコの総攻撃を報告します」「俺のキノコのお姫様」
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コザラミノシメジ(小粗面胞子占地)
褐色の傘と柄を持つ食用キノコで、肉は小麦粉に似たにおいがする。
「ザラミ」という名前は、胞子にある小さなイボがザラザラしていることに由来する。
「たいしたことあるよ。アニエスの心がザラザラしているよ」とクロードに訴えるために生えてきた。
アニエスの心のザラザラに反応するが、クロードには伝わっているような気がして親近感が湧いている。
「キノコはどういう扱いですか」「キノコの騎士と釘」
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コフキサルノコシカケ(粉吹猿腰掛)
傘は灰色や白っぽい茶褐色などで、年輪のような環溝がある。
年々成長するので、大きいものは五十センチほどになることも。
名前の通り座っても崩れない耐久性を持ち、頑丈で壊れにくいキノコ……もはやキノコというよりも、家具の説明。
成長期の傘の裏にメッセージを入れると二度と消えないし、磨くと光沢が出て置物にもなる……やっぱり、家具かもしれない。
『木材腐朽菌倶楽部』の一員。
食用ではない……座れる頑丈なキノコを食べようとしないでほしい。
座る位置の話をしていたのを聞き、「よかったら座る?」と生えてきた。
アニエスの部屋の椅子として採用してほしいが、どこで面接を受ければいいのかわからない。
「キノコと自己肯定感」
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コンイロイッポンシメジ(紺色一本占地)
濃い青色の傘を持つキノコ。
毒はないらしいが、色が色なので食べてはもらえない。
以前、キノコの話し合いでクロードの髪色に一番近いキノコに認定された、青色キノコ代表。
クロードの色としてアニエスを飾る紺色のドレスに混ざりたくて生えてきた。
紺色具合に自信があったが、キノコなのでむしられた。
信頼されていないという言葉にショックを受けるアニエスを見て「そんなことないよ。この色を見て」と自身の青色でクロードを信じるよう訴えている。
クロードのことを信頼しているが、理由は「青いから」らしい。
「王弟・グラニエ公爵」「よくあることでしょう?」「少し、黙っていて」
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サクラタケ(桜茸)
淡紅色の傘を持ち、湿気を帯びると長い条線が見えるようになる。
見た目はピンクの可愛い姿だが、指でつぶすと大根の匂いがするギャップ系キノコ。
味はないが、胃腸系・神経系の毒を持つ……大根の匂いだからいけると思ったのだろうか。
アニエスが綺麗と褒められたので、嬉しくなって生えてきた。
自身の傘がアニエスの髪と同じピンク色であることを自慢に思っている。
「アニエスの髪の色、桜色で良くない?」と桃花色という名前に対抗心を燃やしている。
「五人の王子」
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ササクレシロオニタケ(細裂白鬼茸)
大きなイボが特徴的な白いキノコで、柄の部分にささくれがある。
全身美白した、ベニテングタケという感じ。
一応毒とされているが可食ともされている……って、怖くて食べられない。
アニエスの身辺や心理状況に心を配る、監視キノコ。
フィリップの行動と言動を有罪と見做し、全キノコに緊急通達を出した。
その後、キノコ達の攻撃を見守っている。
つまるところ、ちょっとしたストーカー兼スピーカー。
「隣にいるべきは」「立派な馬鹿に成長しましたね」「警戒心が足りませんよ」
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サンゴハリタケ(珊瑚針茸)
真っ白な珊瑚の様な見た目の食用キノコ。
取るのが難しく、ゴミがつきやすいらしい……トゲトゲに絡まるのだろうか。
かつて「クロードの白いシャツに生えるのは誰だ」選手権を見事に勝ち上がった、勝者キノコ。
今日もクロードに張り付いていたが、最終的にはアニエスとクロードの間に挟まれ、何だか幸せ。
アニエスがトゲトゲで痛い思いをしなかったか心配している。
「キノコの心配」
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シロキクラゲ(白木耳)
白く薄い膜が重なり合ったような形の食用キノコ。
ゼラチン質でできており、乾燥すると淡黄白色で硬くなって縮むが、水に浸すと元に戻る。
無味無臭だが食感が良く、若干高価。
クロードの胸を飾る白い花に対抗すべく、隣に生えた。
「アニエスとクロードとお揃いの、白いフリフリの座は渡さない」とゼラチン質をプリプリさせて主張している。
今後、ドレスアップの際には自分が使われるかもしれないと思い、ゼラチン質のプリプリを鍛えている。
「小さな紳士と魅了の花」
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ススケヤマドリタケ(煤山鳥茸)
ビロードのような質感の暗褐色の傘を持つ食用キノコ。
傘の直径が15cmを超えるものもあるが、炒めてよし焼いてよしなので、寧ろありがたい。
晩御飯のおかずに名乗りを上げた、勇敢なキノコ。
厨房で「今日こそ焼かれる気分」と訴えたが、やっぱり煮られた。
「ケヴィンが全然焼いてくれない」とオトメノカサに相談したところ、「それは恋」と言われた。
菌種を超えたロマンスがはじま……らない。
「心の鍛錬は、ハイテンションお姉さんです」
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セイヨウショウロ(西洋松露)
大理石状の模様を持ち、小さな突起が無数に見られる塊状のキノコ。
いわゆるトリュフで、三大珍味にも数えられる高級食用キノコ。
白と黒で値段が違いすぎるのが、目下の悩み。
地中に埋まっていると聞き、呼ばれたと思って喜び勇んで生えてきた。
今回もクロードに渡されてしまったが、たまにはアニエスの食卓を飾りたいと思っている。
「アニエスの手でスライスされたら、嬉しさで香り三倍」という主張に、キノコ達が同意している。
「キノコと自己肯定感」
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※15000文字を超えてしまったため、分割します。