図書館司書に溺愛を捧ぐ
ただ、現実はいつまでもこうしている訳にはいかないということだった。
高校受験が迫ってくると親からのプレッシャーがさらにかかり始めてきた。
俺はこのままここにいても何も解決しないと分かってはいるが動けずにいた。
紗夜ちゃんに何も言っていなかったのにある日突然、お兄ちゃんは何になるの?と聞かれた。
そんな先のビジョンなんて考えても見なかった。
目先の高校しか考えていなかった。
俺はなんて答えたらいいかわからなかった。
紗夜ちゃんは?と聞き返すと、ずっとここにいたいから読み聞かせする人になりたいと小さな声で答えた。
こんな小さな紗夜ちゃんでも未来を見てるんだと思ったら急に恥ずかしくなった。
逃げてばかりではいけないと。
でもどうしたらいいのかわからなかった。
このまま何となく毎日を過ごし、適当な高校大学に進んでもいいのかふと立ち止まった。
そんな時にふと今の環境とは違うところに行きたいと思った。
1からやり直したい、と。
親に伝えるともちろん大反対だった。
今でさえきちんと出来ていないのに目の届かない海外の高校だなんて送り出せるわけがない、と。
俺は何度も頭を下げ、ようやく親からの許可をもらうことができた。でも試験を受け、合格しなければならない。
英語だけではなく教科の勉強も必死にこなし、ようやく入学許可証を手に入れることができた。

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