図書館司書に溺愛を捧ぐ
ピザは2人でシェアして食べたがどちらもとても美味しかった。

「美味しいお店たくさん知ってるんだね。やっぱり大人だね。私はもともと新しいお店を探すのもどちらかというと苦手だからいつも決まったお店が多いの。だから新しいお店って新鮮」

「そっか。俺は食べるのが好きだからふらっと試しに入ってみるなんてことはしょっちゅうだよ。流行ってるお店じゃなく美味しいお店に入りたいんだ」

見た目からすると流行ってるお店が似合いそうなのに、とつい思ってしまう。そのくらい今のお兄ちゃんは魅力的。

"基紀さん’’と呼ぶよう言われても頭の中ではついお兄ちゃんと呼びかけてしまう。

私より歳も上で頼りたくなる、そんな存在。
でも図書館で他の人と話すのを見かけると胸が痛くなる。私ったら妹みたいにお兄ちゃんを独占したいのかしら。

でも今日誰かを待っていなくてよかった。もし誰かとお兄ちゃんが帰るのを見かけたらショックだったと思う。

帰りにトイレに行って戻るとお兄ちゃんが会計を済ませた後だった。私も働いているから、と言っても受け取ってくれず、またご馳走になってしまった。

今度は私が払うからね、といいそうになったが今度があるのか分からないので簡単に口に出せなかった。
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