図書館司書に溺愛を捧ぐ
基紀さんは週に1度、多くて2度くらいのペースで図書館にくるようになった。

相変わらずスタッフが声をかけに行っている。
なかでも私の後輩の莉奈ちゃんは熱心だった。
私が幼馴染だと説明すると嬉しそうに言われてしまった。

「そうですよね、ただの幼馴染ですよね。まさかとは思ったけど、そうですよね」

何がまさかで、何がそうなのか……。
いいたいことはわかる。でも後輩にまで言われる私ってどんな扱いなの?
ここの人はみんないい人だし、私に不満は全くない。
でも莉奈ちゃんからすると私は暗いし、基紀さんと釣り合わないって思われてるんだね。
幼馴染じゃなきゃおかしいって思ってるのね。

私は中学になる時に思い切って前髪を切った。
だいぶ目が悪くなっており眼鏡をかけようと思ったけどまたメガネで守られてるのはダメだと思って頑張ってコンタクトにした。

大学に入り、さらに見た目を気にして少しだけカラーをしてみた。もちろん他の子みたいには出来ないから自己満足の世界。
それでも私にとっては大きな一歩。

でも莉奈ちゃんからしたら見た目もイマイチな冴えない先輩なのだろう。
イケメンな基紀さんの知り合いなのが不思議でならないのだろう。

だから私が話しかけないことをいいことに来るたびにすぐに駆け寄っていく姿をよく見かけるようになった。

可愛い莉奈ちゃんが基紀さんの周りにいるのは釣り合いが取れていて、遠目に見てもお似合いだと思った。
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