図書館司書に溺愛を捧ぐ
すると、ふっと頭に手が置かれた。
驚いた私は泣き顔のまま見上げると、中学校の制服を着た小柄なお兄ちゃんが立っていた。

「どうしたの?」
私の泣き顔を見て驚いていた。

私は人見知りでお兄ちゃんが声をかけてくれたのにも関わらず、何も言えず固まってしまった。

「どこか痛いの?」
私は首を振る。

「何かあった?」
私は返答に困り返事ができない。

「ここで泣いてても気持ちが晴れないよ。外に行かないか?海でも見に行こう」
そのお兄ちゃんは優しく私をデッキに連れ出してくれた。
図書館の中からこのデッキを見るけれど私が出るのは初めて。なんとなく大人が行くところって思ってたから。
お兄ちゃんは私を連れてデッキの端っこに行き座らせてくれた。

「泣きたいことなんて毎日生きてたらあるよな。泣いたっていいんじゃない?みんなの涙で海はできてるって聞いたよ。君の涙も海の水になるから必要だよ。」

「え?」

「海は涙からできてるんだってさ。」

「そうなの?」
私は驚いて初めて会ったお兄ちゃんの言葉にすっと反応できた。

「泣きたいとき泣かないと体に悪いから泣いたほうがいい。でも涙が本につくとダメになるからあそこはダメだと思う。涙が海に行くようにここで泣いたらいいよ。」

そう言ってもなんとなくお兄ちゃんと話したおかげで涙は引いてきてしまった。

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