図書館司書に溺愛を捧ぐ
***

紗夜ちゃんはどうしてこんなに素直で可愛いんだろう。


莉奈ちゃんに声をかけられさすがにどうしようかと戸惑っていたところ館長に声をかけられた。
事情を聞かれ、俺は莉奈ちゃんのことはどうも思っていないしこの先も考えられないとはっきり伝えた。
館長はこのまま気にせず通ってほしいと言われて帰宅したがあのあとりなちゃんはどうなったのかわからない。
ただ、少し足が遠のく理由にはなった。
きっとその時の話が紗夜ちゃんの耳にも入っているだろうと思うと気まずかった。
ちょうどイタリアへの出張が入り、何も言えないまま旅立ってしまった。
途中、メッセージを入れようかと思ったが付き合ってるわけでもない男の近況を言われても困るよな、と自虐的な苦笑がもれた。
でも頭の中にはいつも紗夜ちゃんがいて、街を歩いているとお土産に目を奪われた。
本当はもっと選んであげたかった。他の子にはそう思ったことがないのに紗夜ちゃんにだけはそんな気持ちが湧いてきた。
紗夜ちゃんといると心が洗われる、癒されると言う言葉がしっくりときた。
もっとそばにいたいと思った。
でも紗夜ちゃんにとっての俺は歳の離れた幼馴染。名前で呼ぶように言ったが、お兄ちゃんと思っていると思う。
この関係は崩せないのか、もどかしく思った。
もう一歩踏み出したいと思ってネックレスを渡した。紗夜ちゃんに意味が通じなかったことはつけてあげた時に分かった。でもいつか意味に気がついてくれることを祈った。
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