図書館司書に溺愛を捧ぐ
「そういえば、紗夜ちゃん。浴衣すごく似合ってるね。かわいいよ」

「あ、ありがとう」

私は褒めてもらって嬉しいけど恥ずかしくてどもってしまった。
顔が火照るのを感じ、ビールを頬に当てると基紀さんは笑って覗き込んできた。

「照れることないのに。本当のことなんだから」

俯いてしまった私に笑いながら話しかけてくれる。

「浴衣を着た紗夜ちゃんを見れて嬉しいよ。紗夜ちゃんが遠くから見えてたんだ。でも一歩遅くて絡まれちゃったけど、遠くからでも紗夜ちゃんが目に飛び込んできた」

基紀さんは海外の生活が長かったせいか時々とてもストレートな物言いをする。
こっちが恥ずかしくなることも言えるし、何よりやることがスマートだ。

私は何も言い返せず視線が彷徨っていた。
どうしても基紀さんだけは見ることができなかった。

でも基紀さんの言葉は私の胸をぎゅっと掴んで話さない。

どうしてドキドキさせるの?

私は基紀さんが好きかも、と自覚してさらに今日また好きが積もった。

大丈夫だよ、私を守るよって言ってくれた。

経験値の低い私にはわからないけど、こんなこと言われてときめかない人なんていないんじゃないかな。



最後にたくさんの花火が打ち上がり、終了になった。
< 45 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop