図書館司書に溺愛を捧ぐ
家までゆっくり歩いても20分。いつものペースなら15分もかからない距離。

酔っているせいなのか、それともまだ一緒にいたいからなのか私たちの足はなんとなくゆっくり。

ふと基紀さんがコンビニの前に立ち止まった。

「ねぇ、アイス食べない?ここで買って公園で食べよう」

私はまだ別れがたく、その提案が嬉しくてすぐに頷いた。

私はチョコのかかったコーンのアイス。基紀さんは昔からあるサイダーの棒のアイス。

2人で向かいの公園のブランコに座りアイスを食べると夜風が気持ちよく吹いていく。

「久しぶりに食べたけどやっぱり美味い。日本のアイスは最高だな」

「美味しいね。公園でアイスを食べるなんて何年振りかな」

「俺もだよ。すごく久しぶり。学生に戻ったみたいだ」

もちろん海外の高校や大学に行っていた基紀さんにしたらなんとなくの例えなんだろうけどなんだかクラスメイトになったようで嬉しくなった。

「ねぇ、紗夜ちゃん。紗夜ちゃんは好きな人いる?」

急に聞かれ固まってしまった。
あなたです、とは言い出せない。
私が無言になっていると基紀さんはそのまま話を続けた。

「俺はさ、紗夜ちゃんのことが気になって仕方ないんだ。こんなに年上だけど紗夜ちゃんにとっては恋愛対象になる?それともまだお兄ちゃんとしか思えないかな?」

私も基紀さんのことが気になってます、と言いたいのにうまく出てこない。

基紀さんは私の答えを急かすわけでなくブランコを漕ぎ始めた。
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