図書館司書に溺愛を捧ぐ
夜も更け、だいぶ遅くなってきた。

「名残り惜しいけど紗夜ちゃんを送っていかないとな」

基紀さんはそのまま私の手をとり、手を繋いで家まで送ってくれた。
玄関を入るまで見ていてくれた。

部屋へ帰ると力が抜け座り込んでしまった。

私、基紀さんと付き合うことになっちゃった……

朝ここを出るときには思っても見なかった。
ただ、後悔だけはしたくないと思っていた。
まさか今日こんな展開になるなんて想像もしていなかった。

改めて今日1日を思い出すと胸がドキドキしてギュッと締め付けられた。
今別れたばかりだけどまた会いたい、こんな気持ち初めて。

私は何とか立ち上がり浴衣を脱ぎ始め部屋着に着替えたところでスマホが点滅した。

メッセージの確認をすると基紀さんからだった。

『今帰ったよ。今日は紗夜ちゃんと過ごせてとても楽しかった。俺と付き合ってくれてありがとう。好きだよ』

うわぁ!こんなことメッセージでサラッと書いてくる基紀さんにまだドキドキさせられる。
基紀さんはどれだけ私の心拍数を上げさせる気なの?
好きだよって言われたこと自体初めて。
こんなにドキドキして、嬉しいものなのね。

私はなんて返信したらいいか散々悩んだ。

『おかえりなさい。私も今日は楽しかったです。すぐにまた会いたいって思いました』

そう返すとすぐに返信が来た。

『紗夜ちゃん、俺を悶絶させる気なの?』

ん?
悶絶って?
すぐに次のメッセージが届いた。

『俺だってすぐにまた会いたくなったよ』

うわぁ。
また胸が苦しい。
どうしたら苦しさが取れるのっていうくらいに締め付けられる。
私と同じでまたすぐに会いたいと思ってくれたなんて嬉しい。言葉で書いてくれて安心する。

悶絶ってこういう想いのこと?
基紀さんも胸が締め付けられてる?

何もかも初体験の私にはよくわからないけど、わかるのは私も基紀さんが好きってことだけ。

『そう言ってくれて嬉しい』

『紗夜ちゃんはいつまで夏休み?』

『月曜日から日曜までです。だから後4日間』

『俺は土曜から1週間なんだ。ズレてるな。でも仕事の後になるけど食事に行こう。紗夜ちゃんの予定を教えて』

『土曜日は友達とランチに行くんです。それ以外はのんびりするつもりだったら大丈夫』

『明日は会食が入ってるから金曜の夜は一緒に食べに行こう。日曜日はデートしよう』

やることのなかったはずの夏休みが一気にたのしみになった。
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