図書館司書に溺愛を捧ぐ
平日だし、夏休みっていうこともあるのかお店はいつもより空いていてすぐに案内された。

ドリンクと料理をあらかたオーダーしたところで待ってましたと言わんばかり、あずさから質問攻めにあった。

昨日小学校の頃の友達に会って、また絡まれたこと。そのあとその子たちにハッキリと伝えてくれたこと。私のことを好きだって言ってくれ、守りたいって言ってくれたこと。
全て赤裸々に告白させられ私は改めて顔が火照ってきた。

「困ってるところに駆けつけて、さらにその子たちを退治してくれた?リアル王子様じゃん」

あずさは興奮気味に話してくるがその分私はちょっとだけ冷静になった。

「見た目もいいんだよ。背も高いし。だから私でいいのかなって不安になってさ。この年で付き合うのも初めてだしさ」

「でも紗夜がいいって言ってくれたんだから、その彼の気持ちを紗夜自身が踏みにじらないで」

「うん……」

「紗夜も彼が好きだったんだもん。両想いでしょ。」

「うん」

「紗夜にも春がきたね。紗夜のいいところを理解してくれる人が現れて私嬉しい」

小さな頃からひたすら私を励まし続けてくれた
あずさの言葉は重くて胸が温かくなる。
あずさに背中を押されなければ見ていただけだったかもしれない。
好きなものに手を伸ばそうとは怖くてなかなか思えなかった。
一歩踏み出せたのはあずさのおかげ。
ううん、基紀さんのおかげでもある。

「でもさ、また小学校の頃の子たちに絡まれ大丈夫なの?」

「それがね、たまたま今日1人に出くわしちゃったの。そしたら基紀さんが話してくれたことをわかってくれて謝ってくれたの。なんだか少しだけ胸につっかえていたものが落ちたように思った」

「よかったね。王子様のおかげだね」

「もう!王子様だなんて」

クスッと笑いながら基紀さんを王子様だと表現するあずさがおかしくなる。
昔から私を助けてくれるヒーローかなって私は思うけどな。

「次にいつ会うの?」

「明日の夕飯かな」

「仲良くね。またラブラブな話を存分に聞かせてね」

茶化すように言われ、またドキドキし始めた。

「初心者なんだってば。どうしたらいいのかわからないの」

「正解なんてないよ。お互い素のままでいいんじゃない?今までと同じでいいのよ。感じるままに行動したらいいよ」

「うん……」

明日も仕事のあずさは遅くなるわけなかも行かず、それでもガールズトークは盛り上がり21時にやっと解散になった。

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