図書館司書に溺愛を捧ぐ

9月26日
仕事を終え、裏から出ると基紀さんの姿があった。
久しぶりに見た彼は少しだけ日焼けし、前よりもガッチリしているように見えた。

「紗夜ちゃん、お疲れ様」

「基紀さん」

「もし良かったらこの後食事に行かないかな?」

私は驚き基紀さんの視線から目を離せず見つめてしまった。

「話があるんだ。時間もらえないかな?」

私は急なことで言葉が出てこず、頷くことしかできなかった。

以前乗せてもらった車と同じものが駐車場に停めてあり、あの時と同じく助手席のドアを開けられ乗せてくれた。

「どこにいくの?」

「最近丘の上にできたオーガニック野菜の店知ってる?」

「はい。行ったことはないけど話題のお店ですよね。ガラス張りで中がよく見えるところですね。外から暖炉や観葉植物が見えて建物によくあっていて素敵なお店ですよね」

「そうみたいだね。そこに行こうか」

「はい」
 
そんな話題のお店なんて前の私には敷居が高かった。
けれどあれから2年。私は公私共に努力してきた。
少しぐらい背伸びもできるようになった、かなと思う。

車を20分くらい走らせるとお店に到着する。

店に入ると奥にある個室に案内された。
窓は全面ガラス張りで薄暗くなってきたガーデンには所々ランタンが置かれている。丘の上にあるため夜景も見え始めてきた。
店内は天井が高く、窓も含め開放感に溢れている。家具は白木で統一されており、磨き上げられたカトラリーが既にセッティングされていた。
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