図書館司書に溺愛を捧ぐ
「素敵……」

呟くように感嘆の言葉が漏れ出てしまった。

基紀さんは私の背後に周り、椅子をひき着席させてくれた。

本当にエスコートが上手。
こんなことが自然とできるなんて昔あずさに言われた“王子様”という言葉を思い出させてくれた。

「メニューはおまかせでいいかな?」

「はい」

ウェイターを呼びおまかせのコースと食前酒をオーダーした。
基紀さんは運転があるから、とノンアルコールにするため私も同じものを注文した。

前菜から始まり、食事中、当たり障りのない会話を交わす。

やっとデザートまでたどり着いたところで、あと少しで食事が終わってしまうと寂しく感じていた。
その時ウェイターがトレイの上にカバーをかけたデザートを運んできた。
そしてなぜかカバーをかけたままテーブルの中央に置いていった。

私は不思議に思っていると基紀さんは真面目な顔で立ち上がり、カバーに手をかけた。
私の目を見ると頷き、カバーを勢いよく外した。

すると中には大きな一輪の薔薇のケーキが置かれており、中央にはプレートが添えてあった。

『WILL YOU MARRY ME?』

私は固まってしまった。
意味がわからないわけではなくて、まさかまた私が基紀さんに求められるとは思っていなかったから。
それに求婚されるなんて思っても見なかった。
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